(ウ) 陶芸の歴史(織部の里、美濃陶磁歴史館(土岐市))
かつて織部が焼かれていたという元屋敷窯跡を中心とする史跡公園「織部の里」や、この窯跡からの出土品を中心にした展示を行う美濃陶磁歴史館を訪れることで、美濃焼における陶芸の歴史を学べるように整備していく。なお、土岐市文化会館に併設されている美濃陶磁歴史館は、施設の老朽化が進んでいるので、中長期的には、建て直しも含めて検討する必要がある。
(エ) 陶磁器産業の歴史(瑞浪陶磁資料館(瑞浪市))
美濃焼の特徴の一つである大量生産を支えてきた生産技術の変遷を中心に、産業としての陶磁器生産について学べるような展示を行う。産業観光という観点からは、できれば昔の工具を使った実演もしくは昔の生産風景を再現した映像資料などがあることが望ましい。ここで、陶磁器産業の歴史を学んだうえで、土岐市内で窯元巡りや窯元見学をするというモデル観光ルートも考えられる。
(オ) 科学的分析(セラテクノ土岐(土岐市))
どのような土石が陶磁器生産に適しているのか、焼成温度の違いで焼き上がる陶磁器にどのような違いが生じるのか、効率よく焼成温度を上げるにはどのような構造の窯がどのような理由で優れているのか、釉薬のどのような成分がどのような色に結びつくのか、などといった一般観光客の科学的関心に応えられるよう、わかりやすく展示する。原料になる土石に直接触れ、その質感を体感できるような機能も充実させる。
(カ) 美濃焼を活かした生活
いくら美濃焼について多くを知っても、美濃焼自体が単に鑑賞の対象であり、それを生活の中でどのように使ったらいいのかが知られていないならば、それは残念なことである。どのような美濃焼を使って、生活のどのような局面を、どのように彩っていくと、より心豊かな生活を送ることができるかを、観光客に知らしめるという機能が、これまで本市及び周辺地域の美濃焼関連施設には、十分に備わってはいなかった。美濃焼伝統産業会館や土岐美濃焼陶磁館、どんぶり会館、セラミックパークMINOなどでは、テーブルコーディネートの提案など、こうした機能も、併せて担って行くべきである。
イ 買う(土岐美濃焼陶磁館(土岐市))
陶磁器卸商業組合により美濃焼の販売を行う。卸商や窯元にとっては、産地で消費者に直接、ある程度のまとまった量の美濃焼を販売できる場であり、どのような美濃焼が消費者に受けるのか、今後の商品開発の方向性を知るためのアンテナショップ的な機能を担う。なお、現施設は手狭な印象も受けるので、今後、国道沿いなどへの新設移転も検討していく必要がある。