第5章 産業観光振興に向けた地域連携の基本的考え方
美濃焼を核とした産業観光の振興を考えていくうえで、本市とともに美濃焼の主産地を形成している隣接の多治見市、瑞浪市、笠原町を無視して考えることは出来ない。また、観光地としての魅力を高めるためには、周囲の観光地とタイアップし、相互に自らの地域に不足しているものを補完しあいながら売り込みを図っていくことも、不可欠である。さらには、美濃焼産地としての本市の知名度を高め、美濃焼を核とする産業観光での誘客を図るためには、平成17年に愛知県瀬戸市で開かれる愛知万博など、適切な機会を捉えての効果的な宣伝活動も必要になる。
そこで以下では、美濃焼を核にした産業観光の振興に向けて、このような広域的な連携・役割分担をどのように進めて行くべきなのか、その基本的な考え方を示す。
1 多治見市・瑞浪市・笠原町との連携や役割分担の考え方
いうまでもなく、本市及び多治見市、瑞浪市、笠原町の3市1町からなる東濃西部地域は、美濃焼の主産地である。しかし、一口に美濃焼の主産地といっても、その内訳は均質ではなく、各市町ごとにそれぞれ異なった特徴を有している。様々な特徴をもった地域の集大成として、一大産地が形成されているといえる。
そこで、基本的な方向としては、これらの各市町ごとの特徴を活かしながら、相互に連携・役割分担を図っていくことが、求められる。
また、本地域内には、美濃焼関連の施設も豊富にある。しかし、それぞれの施設ごとの性格付けが曖昧で展示内容などに重複が多いため、施設の量の多さが必ずしも質の深さに結びついていない。
そこで、施設間での連携・役割分担を図り、それぞれの施設ごとに展示内容などにテーマ性をもたせ、施設の質を、より見応えのあるものにしていく必要もある。
(1) 3市1町間の連携・役割分担
本市では、日用食器の生産が盛んであるが、そのなかでも、駄知のどんぶり、土岐津・泉の湯呑み、下石のとっくり、肥田の和皿、妻木の珈琲茶碗など、各地区ごとに得意分野がある。そこで、これを活かして、日常生活を支えるこれら日用食器の産み出されている現場をみせ、「交流大地」として生産者と消費者の交流を進めることで、日常生活のなかで食器を使う際に、ふと作り手の姿を思い浮かべてもらえるよう美濃焼を印象づける役割を担っていくことが望ましい。