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2 土岐市における陶磁器産業の動向

 

(1) 陶磁器産業の概要

ここでは先ず、平成9年における陶磁器・同関連製品製造業(工業統計中分類34)の事業所数及び出荷額から、本市の陶磁器産業の動向をみることにする。

本市の陶磁器・同関連製品製造業の事業所数は、1,153社となっており、隣接する多治見市及び瑞浪市、瀬戸市と比較すると、多治見市の約2.3倍、瀬戸市の約2.5倍、瑞浪市の約5.4倍にあたる。出荷額では、多治見市の約2.7倍、瀬戸市の約1.6倍、瑞浪市の約3.9倍に当たる約913億7,900万円と、周辺地域に比べ、圧倒的な陶磁器の主産地を形成している。

製品の内訳でみると、食卓用・ちゅう房用陶磁器製品が、事業所数で464社(40.2%)、出荷額で441億4,000万円(48.3%)と、陶磁器・同関連製品製造業の半数近くを占め、本市は、食卓用・ちゅう房用陶磁器を中心とした陶磁器生産地であるといえる。

製品の出荷額をみると、多治見市及び瑞浪市と比較して、本市では陶磁器製置物や電気用陶磁器などの出荷額も高く、食卓用・ちゅう房用陶磁器を主産品としながらも、陶磁器に関連する多様な製品を製造するように、変貌を遂げつつある。

しかしながら、隣接市の瀬戸市で、電気用陶磁器(陶磁器・同関連製造業の全出荷額の29.4%)や、陶磁器製タイル(同17.8%)、ニューセラミックなどの理化学用・工業用陶磁器(同5.6%)などの出荷額の割合が高く、多様な製品の製造へと業態が変化しているのに比べると、本市の陶磁器・同関連製品製造業における食卓用・ちゅう房用陶磁器の占める位置は、依然として高い。

次に、本市の陶磁器製品の出荷先をみてみる。かつては、出荷額の3分の1以上、金額にして100億円以上が、本市から海外へ輸出されていたが、近年では、輸出額は大幅に減少しており、出荷額に占める割合は1割を切っている。この原因としては、中国などの産地への技術移転が行われ、こうした産地から、安くて良質な陶磁器製品を供給されるようになってきた結果、本市で生産される製品が価格面で国際競争力を失ってきていることなどが、指摘される。国内向けの出荷も長引く景気低迷のなかで頭打ちとなっており、本市の陶磁器製造業事業所は、全般的にみれば、厳しい経営環境におかれているといえる。

 

 

 

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