6 今後の課題
前章では、「豊かなシンプルライフリゾート」をコンセプトととし、「自然と共生したまちづくり」を軸に3つの柱を設定した。
この3つの柱に従い、小淵沢町で考えられる展開方策例を抽出し、さらに短期的に取組みが求められる方策として次の二つを挙げた。すなわち、
1] 「小淵沢を考える会」:ソフト事業
2] JR小淵沢駅前の玄関機能の整備:ハード事業
である。
(1) 環境依存からの脱却
小淵沢町がリゾート地として発展したきっかけは、昭和50年代のペンションブームやNHK大河ドラマのロケ地になったこと、大河ドラマ誘致の大きな原動力になった馬の存在、清里の観光地化であろう。加えて、中央自動車道のICが開設されるなど東京・名古屋大都市圏と直接結ばれたことも要因である。
しかし、こうしたきっかけの前は、小淵沢町はむしろ何もない町であり、八ヶ岳南麓・清里に近いといったいわば周辺の環境変化の波にうまく乗ったところが大きい。したがって、努力しなくても人が来ることが当たり前になっていないだろうか、今一度見詰め直すことが必要である。
長引く不況下、国内の観光地は入込み客数および客単価の減少にどこも苦しんでいる。しかし一方で、平成13年初頭の成田空港で国際線利用者数は37万人と過去最高を記録している。このように消費者は値ごろ感と満足度が得られるのでがあれば国内外を問わず出かけている。
こうした中、国内の各観光地はこれまでの商習慣を変えて(泊食分離など)まで顧客確保に必死になっている。小淵沢町がこうした観光地とまさに競争しているという視点にたつことが求められている。
(2) 人材がいることを認識する
小淵沢町は、オーナー制であり小規模な事業経営体が多いが、その多くは専門性を有するものであるものが多い。ペンション、馬牧場、ハイテク企業などがその代表例であろう。米麦にかわり徐々にではあるが花卉栽培農家も増えつつあり、町内には花卉・園芸を主にする地元企業もある。
最近は女性による任意団体を母体にする企業組合が薬膳という形で健康志向型の食文化を創造している。
また、健康に好影響を与える高原環境を活用し、高原地帯にある市町村同士が連携し知恵を出し合おうという動きや、子供の心身の育成を支援するために有機綿栽培を体験する活動など、新たな活動が始動しようとしている。