序 調査研究の背景と目的
1 調査研究の背景と目的
豊かな観光資源を背景に、地域発展を担う大きな役割を果たしてきた小淵沢町の観光産業は、今大きな転換点を迎えている。
1998年の長野県における冬季五輪開催に伴う高速・広域交通網の整備の結果、山梨峡北圏へのリゾート・観光客のルートは変化していることが考えられる。また、マクロ的にリゾート・観光市場を見ると、バブル経済崩壊を境に、不動産市場の低迷や消費の停滞が、リゾート・観光産業の経営や投資構造を大きく変えている。加えて、円高の定着で、日本人のリゾート・観光行動は飛躍的にグローバル化しており、価格・サービスの点や観光資源の持つ魅力という点でも、すでに小淵沢町が海外観光拠点と競争する時代となっている。さらに、若年人口の減少の中で、市場の求めるニーズも変化してくる。
本調査研究では、地域間競争が激化し、売上高が従来のように成長しない経済環境の中で、リゾート産業が発展していくためには、市場の求めるニーズを的確に応えると同時に、毎年の景気や気象、地域変化に押し流されない経営構造を確立することが重要と考える。そのために、高原リゾートとしてのあり方や観光産業を含む町内の各産業に携わる公・民の各主体が取り組むべき戦略策定のための目標設定を行う。
■ 調査研究の基本的考え方
本調査研究では以下の問題意識のもとに進めるものとする。
1] 売り手市場から買い手市場に変化したことを認識し、主体的な努力が必要となる。
2] 地域資源からの発案ではなく、市場ニーズに対し、何が提供可能かという視点が必要である。
3] 柔軟な経営システムを導入することが必要となる。