第2章 地域連携へ向けた検討
1 地域連携の必要性、有効性、可能性
(1) 地域連携の必要性
地域住民の生活圏域の広域化、地域産業の低迷、地域間競争の激化、生活環境の向上に伴う高度で専門的行政サービスの必要性の高まりへの対応など、1市町村内での対応が難しい状況が生じてきている。
また、地方分権改革の進展などにより、身近な地域で解決すべき課題はこれまで以上に増えてくることが予想され、それぞれの地域が自らの力で課題にいかに対応するかを問われる機会が多くなっているが、財源の面でも人的資源の面でも、新たに投入できる資源の余裕に乏しいのが現状である。
このような状況下において、それぞれの市町村の特徴や特色を活かしながら、活力のあるより良い地域社会を形成していくためには、市町村の枠組みを超えた市町村同士、地域の各種団体あるいは地域住民の連携が必要となってきている。
(2) 地域連携の有効性
ア 地域連携の有効性
地域が連携することによりもたらされる効果について、以下に例示する。
(ア) 業務の効率化
重複業務の集約化、事務処理方法の統一、事務処理に関するノウハウの蓄積・共有化などにより、業務の効率化を実現できる。
(イ) 高度化・専門化
業務の効率化の結果、行政においては、社会福祉士、保健婦、理学療法士、土木技師、建築技師などのような、従来、配置が困難だった専門職や、国際化、情報化などの専任の職員を置くことができるようになるなど、専門分化を進められるようになる。これによって地域住民は、より高度で的確なサービスを享受することができるようになる。
(ウ) 利便性の向上
地域の行政が連携することで、利用可能な窓口が増加することになり、住民票の発行などの窓口サービスを住居や勤務地の近くなど多くの場所で利用できるようになったり、福祉施設や文化・体育施設などの相互利用ができるようになるなど、住民の利便性が高められる。