第5章 新たな行財政システム
1 はじめに
公民協働を進めるためには、地方公共団体の財政状況を踏まえ、その健全性の維持を図る必要がある。近年、地方公共団体の財政状況をより実状に則して把握するため、従来の官庁会計だけではなく、発生主義の導入等、企業会計に準じた財政分析の必要性が主張されるようになってきている。これらの検討は、まだ緒についたばかりであり、本委員会においても結論を得たわけではないが、本章では、委員会の場において呈示された分析手法について紹介することとする。
2 バランスシート
(1) はじめに
地方公共団体については、公営企業等を除いて、民間企業で作成されているようなバランスシートを作成している団体はこれまでほとんどなかったが、12年3月に「地方公共団体の総合的な財政分析に関する調査研究会」がバランスシートの具体的な作成手法に関する検討結果を発表した後、バランスシート作成の気運が高まってきている。ここでは、同研究会の提言したバランスシート作成手法を簡単に紹介するとともに、財政の健全性維持のために、作成されたバランスシートをどのように財務分析に活用すべきかについて触れることとする。
(2) バランスシートの作成手法
前述の研究会において提言されたバランスシートの作成手法のポイントは以下のとおりである。
ア 基本的前提
1] 作成されるバランスシートの性格
経営資源の状況とその経営資源を調達するための財源の状況を明らかにすることにより、合理的な経営管理に資する。
2] 対象会計範囲
普通会計を対象とする。
3] 基礎数値
昭和44年度以降の決算統計データを基礎数値として用いる。