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また、厳しい地方財政の現状を背景に、地方公共団体が独自財源を探すというプロセスにはそれ自体にも意義があるものだが、税体系として果たして雑多な税がたくさんあることが良いかというのは別問題であり、やはり全国的な取組みにより、基幹的な税目についての税源拡充を図るべきである。ただ、現状では法定外税は極めて限られているので、多少は様々な税が出てくる余地を認めるべきであり、地方全体で見ると多種多様な税が出てくる可能性があるとしても、特定の自治体についてみれば、それほどたくさんの税が乱立することはないのではないか、と考えられる。なお、この点については、普通税として雑多な税が乱立することは問題だが、原因者と負担者が明確に対応している法定外目的税であれば問題はないとの考え方もある。

 

5] 必要な体制等の整備

法定外税については、地方分権の理念に基づき課税自主権を尊重する観点から制度改正がなされたものであり、本来、地方公共団体の自己責任に委ねられるべき性格の強いものだが、租税の基本原則等に照らしても問題のあるような事例が出て<ることもある。

自己責任の前提としては、地域の実情に応じて、住民や納税者の理解を得ながら、議会審議を含め十分な議論が尽くされることが必要であるが、地域において、租税の基本原則を含め、適切な論点を押さえた議論が十分できるような体制等を整備する必要がある。

課税自主権が適切に発揮できるようにするため、地方公共団体自らが、内部での研修等、学識経験者の意見の活用、住民との意見交換、広域的な連携・協力等に取り組まなければいけないのはもちろんだが、国も、地方公共団体の経験不足を補うために、適切な情報提供や助言等による支援に努めていく必要がある。

 

 

 

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