日本財団 図書館


資料19

 

地方分権時代の住民自治制度のあり方及び

地方税財源の充実確保に関する答申

 

地方制度調査会

平成12年10月25日

 

第2 地方税財源の充実確保

 

1 地方税財源の充実確保についての基本的な考え方

(1) (中略)

国と地方の歳出純計に占める地方の歳出の割合は約3分の2であるのに対し、租税総額に占める地方税の割合は約4割であり、歳出規模と地方税収入には大きな乖離がある。地方税については、この乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、その充実確保を図らなければならない。

自主財源である地方税を基本としつつ、国庫補助負担金、地方交付税等の国からの財源への依存度合をできるだけ縮減し、より自立的な財政運営を行えるようにすることが目指すべき方向であり、これにより、福祉・教育、社会資本整備など様々な行政サービスによる受益と負担の対応関係のより一層の明確化が図られ、国・地方を通ずる行政改革や財政構造改革の推進にもつながるものと考えられる。

(中略)

地方税財源の充実確保については、現在、地方財政が危機的な状況にあることを踏まえ、速やかに検討し、必要な取組を行うとともに、今後景気の回復状況等を勘案しつつ、前述の歳出規模と地方税収入の乖離をできるだけ縮小する観点から、国と地方の税源配分のあり方についても検討し、必要な見直しを行うべきである。

 

2 地方税源の充実確保方策の方向

(2) 主要な税目の具体的方向

(中略)

1] 個人住民税は、地域住民が地域社会の費用の負担分任の原則のもとに負担する税であり、受益と負担の明確化という観点や少子高齢化に伴い様々な財政需要の増大が見込まれることから、充実を図っていくことが望ましい。また、個人所得課税に占める個人住民税の割合の大幅な拡充がなされる際には、個人住民税をより比例的な税率とすることも検討すべきである。

なお、均等割については、過大な負担とならないよう配慮しつつ、その拡充を図るべきである。さらには、生計同一の妻に対する均等割の非課税措置についても男女共同参画及び個人単位課税の観点から、そのあり方の見直しを検討すべきである。

2] 地方消費税は、地方分権の推進や地域福祉の充実のための税として創設されたものであり、少子高齢化に伴う幅広い財政需要を賄う税として、今後、その役割がますます重要なものとなっていくと考えられること、及び地方税体系における所得・消費・資産等の間における均衡を図るという観点などから、地方財政を支える基幹的な税として、その充実を図っていくことが望ましい。

3] 固定資産税は、資産の保有とそれに対して市町村が提供する道路、上下水道、消防、その他の行政サービスとの間に存在する一般的な受益関係に着目して課税されるものであり、応益性という地方税の重要な原則を具現した税であるとともに、市町村財政を支える基幹的な独自の財源であり、引き続きその安定的な確保に努めるべきである。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION