(2) 国と地方の税源配分
1] 国と地方の財源配分の推移
国と地方の税源配分を見ると、概して安定的に推移していると言える。まず、国税、地方税を合わせた租税総額に占める地方税の割合は、昭和50年度以降20年以上、35〜40%程度で推移している。次に、特定の国税にリンクして総額が決定される地方交付税と地方譲与税を地方税に加えた地方のシェアは、55〜60%前後で、さらに、国庫支出金も地方の側に加えて算出したシェアも、60〜70%前後で、それぞれ推移している。
なお、細かく見れば、租税総額における地方税の比重は以前に比べ高くなっている。しかし、租税負担より急激に増加している社会保障負担をあわせて考えると、国は、社会保険料収入の伸びによって社会保障関係支出の増加を賄うことが可能であったのに対して、地方においては、増加する社会福祉関係の財政需要を主に一般財源で賄ってきており、地方への税源配分は増加していると単純に主張することは適切ではない。現在、公的年金財源について税方式と社会保険方式をめぐる議論が盛んであるが、今後の社会保障関係経費の増大を考えたときには、国税と地方税、あるいは税と保険料という二元論だけではなく、国税・地方税・社会保険料について総合的に捉える視点から、あるべき国民負担について検討することも重要であろう。