2 都心居住に関するアンケート調査
居住に関するニーズは個々人により異なる。場所、住宅の種別、居住環境、周辺環境・家族の事情、また、現状に対する満足度、将来への備え、資金負担等各々千差万別である。また、広島市の都心構造の特徴として、太田川河ロデルタにコンパクトに形成された都心があり、その周辺を半円状に郊外が取り囲んでいる。太田川河ロデルタには6本の派川があり、それが都心にオープンスペースを提供し、郊外には緑の自然が多く残されている。いわゆる、都心=商業・業務中心の殺伐とした空間、郊外=宅地供給可能な居住適地といった単純な図式にはなっていない。
人口の大幅な増加が望めない中で、施策として「都心居住」を考えていくためには、都心居住推進の論拠を検討するとともに、人々の居住ニーズを支配する要素を把握し、求められるものは何かを抽出することが重要であり、その上で、都市の土地利用のあり方等も含め総合的に検討する必要がある。
このような視点から、平成12(2000)年12月7日から13日にかけて市役所本庁舎(広島市中区)に勤務する職員を対象に、人々の居住ニーズに関するアンケート調査を実施し、124名(都心居住者、都心外居住者各62名)から回答を得た。(表2)
ただし、このアンケート調査は、対象者を市職員に限定したこと、サンプル数が都心居住者・都心外居住者ともに62と少ないことなど、調査としては限定的である。しかし、広島市における居住の問題を考える上で、行動仮説を立てるための調査(行動仮説の検証ではない)としての意義はあるであろう。
アンケート調査では、都心の地域を図2のBエリアの内側(Aエリアを含む)とし、そこに住んでいる者を「都心居住者」、Bエリアの外側に住んでいる者を「都心外居住者」とした。
また、都心のうち、商業業務機能が高度に集積している地域(中心業務地域)をAエリアとした。