2) 個別取組み事例
(1) Boondal Wetlands ProjectとMountains to Mangroves Festival
─Community Development Teamによる取り組み─
■Community Development Teamの位置づけと役割
○Brisbane市北部におけるCommunity活性化の推進機関。学校、病院、ビジネスアソシエーションなど、いろいろな団体や住民の活動を促進する触媒役を果たす機関ということができる。Brisbane市郊外には、東西南北4個所にこうしたチームが設置されている。
○主要な取り組みとして、Life in the Suburbsというプログラムがある。取り組みの主なねらいは、商業のみならず、文化、地区の中心としてコミュニティにおける様々な活動の中心的な役割を果たしている地区の商業地区(中心市街地)の活性化を推進すること。わが国と同様に、大規模なショッピングセンターの建設などに伴い、こうした商業地区は打撃を受けている。こうした打撃を回避し、人口流出、店舗の減少などを回避し、地区の活性化を推進することが主要な目的である。
○コミュニティにおけるBusiness Associationの活動支援、地区の安全性の向上(防犯等)、地区におけるイベント(festival)の開催支援などを行っている。例えば、イベントについては、2001年の連邦制100周年記念イベント等を推進。
○実施しているプロジェクトは、全紙で11件(各地区3件を想定していた)
○こうしたまちづくりのサポートの結果として、地区への定住性の向上を促進するなどの意味では、ツーリズムの振興に通じるところがある。ただし、北部地区は、観光地ではなく、LTA(Local Tourism Association)も存在していない。
■Boondal Wetlands Projectについて
○Brisbane市北部約15kmに位置し、730haを占めるもともと荒廃していた湿地の保全、再生プロジェクト。Boondal Wetlandsは、Brisbane市北部の空港近接地に位置する湿地であり、アボリジニー、オーストラリア開拓当初の時代の歴史を有する地区であるが、ごみが不法投棄されるなど、荒廃した場所であった。
○1985年に、Brisbane市は、1992年のオリンピック誘致に向けて、この地区の一角(Nudgee Forshore)を、埋め立て、開発整備される構想をたてた。これに対して、住民、環境団体を中心に反対運動が持ち上がった。反対運動を機に環境教育の場ともなる公園としての整備が推進され、1990年にBoondal Wetlands Parkが設置された(指定された)。その後、1992年には、環境管理計画を策定、1996年にはVisitor Centerが開設された。
○地区のマネジメント機関として、Boondal Wetlands Management Committeeが設立されている。メンバーは、住民、環境の専門家がそれぞれ半数を占める(Nudgee地区を始めとして、湿地の周辺に住宅地が存在しており、ここの住民が開発に対して強く反対したらしい)。