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○現在は、戦略計画に基づくトップダウンの取り組みと、それぞれの観光地の自主的なボトムアップの取り組みの双方を推進しているところである。

○実際の観光振興に当たっては、地方政府、地域の観光協会(tourism association)、環境団体、アボリジニー、連邦政府など、関係主体の役割を運営委員会などで調整する。この場合、各地域の観光振興を担うRegional Tourism Association(RTA)やLocal Tourism Association(LTA)や地域の社会経済振興を担う機関が鍵を握るプレイヤーとなっている。

○現在の州政府の基本的な考え方(Tourism Queensland)は、基本的に、個々の地域のイニシアチブを重視すること。州政府は、基本的な原理原則を戦略プラン(トップダウンの方針)で提示するとともに、ガイドライン、マニュアル、先進事例集などいろいろな形でボトムアップの取り組みを支援している。ただし、個々の観光開発主体に、こうしろという指示はしない。それぞれの観光主体が自立的に取り組みを推進することが基本と考えている。すなわち自助努力支援資料(self help materials)の提供に力を入れている(Grow Your Eco-tourism Business/a support kit for operatorsなど各種の支援マニュアルを入手)。

 

※実際にエコツーリズムを事業化する場合の取り組みを順を追って開設するとともに、関連主体、各種の許認可などについて、情報を提供する実務的なマニュアルとなっている。ビジネスとしてエコツーリズムに取り組む場合は無料でマニュアルを提供している(それ以外の場合はA$72(マニュアル上下))。

※このマニュアルは、「観光まちづくり」の実務的なマニュアルを開発する場合にも参考になりそう。

 

○こうした地域の自立的な取り組みの支援は、「観光商品(tourism product)」の供給重視の政策ということができる。これまで、どちらかというと観光客がどういうかんこ商品を求めているかという視点(需要サイドの視点)から、観光商品のマーケティングを行ってきたが、最近は、マニュアルなどの提供を通じて各地の自立的な観光開発を支援している。これは供給サイドの視点にたった観光振興ということができる。州政府は、こうして形成された商品を一生懸命売るという役割を担うということだ。

○この場合に、開発、提供される観光商品(tourism product)をできるだけ持続可能(sustainable)なものにすることをめざしている。Eco Tourismの考え方を、いろいろな観光に適用することを目指している(Eco Tourismという考え方は、いろいろな観光開発に適用できるvehicleである)。

 

 

 

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