平衡感覚・柔軟性・敏捷性が低下してくると、不安全行動・不安全状態があったとき、身体を支えきれず受傷に至る。また視力聴力の加齢による機能低下は訓練によって防ぐことが難しい。
視力では近場が見えにくいといった距離視力の低下のみならず、濃淡の区別・明暗変化への順応力等の低下もおこります。
事例3ではマスクの着用で視野が狭められていたことにも留意いただきたいですし、事例4では、暗がりの中で本人は周囲の状況を把握できぬうちに墜落しています。
医学的にも、「まわりに騒音がある場合、特定の音が聞き取りにくい」「周波数の高い音が聞こえにくくなる」事が分かっています。現場で騒音そのものをシャットアウトすることは出来ませんので、耳栓使用の徹底をはかるとともに、音声に頼らぬ指示連絡方法の確立や、作業指示を復唱させるなどの確認が必要です。
事例5のように雨具の使用などにより、視覚聴覚の制約がかかる場合もあります。艤装岸壁など屋外の作業現場では、気象の変化により作業環境が変化することを前提として危険予知を行なうなど、怠り無く対策を検討するべきです。