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1. 日造協の就労者の年齢構成と災害の推移

(1) 就労者の年齢構成

●54%を占める50才以上

表1「造船協力業就労者の年齢構成の推移」は、日造協共済制度の加入者データから各年代別に集計したもので、ほぼ日造協会員全体の従業員の高齢化の度合を表すデータとみてよいと思います。

この内訳を見ていただくと分るように、50才以上の比率が50才未満を合計した比率より高く、中でも50才代が35%前後と突出していることが特徴です。

こうしたワイングラス型の世代構成は少なからず他の業界にも見られる傾向ですが、造船協力業はその典型といえます。

また、平成12年を平成9年の時点と比較してみると50才代、60才代の比率が少しずつ高くなってきていることが分ります。

 

表1 造船協力業就労者の年齢構成の推移

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資料出所:日造協資料

 

(2) 被災者の年齢構成の推移

●目立つ中高齢者の被災

表2は、今から約25年前の3ヵ年(昭和49年度〜51年度)と最近の3ヵ年の死亡災害を比較したデータです。

25年前のデータを見ると、死亡災害34件のうち50才未満が67.6%(23件)であるのに対し、50才以上が32.3%(11件)でした。

一方最近の3年間では44件の死亡災害が発生していますが、50才未満が38.7%(17件)であるのに対し50才以上が61.4%(27件)を占めています。業務災害だけに絞ってみると約8割が中高齢者との集計結果も出ています。この20年間で災害の発生総件数はしだいに減少していることは事実ですが、中高齢者の被災率は殆ど減少していないのが実状といえます。

図1を見ると、昭和49〜51年度の3年間の死亡災害が40才代を頂点とするツリー型なのに対して、最近3年間の死亡災害は30才代が谷で50才代が山という姿をしています。現場の世代構成の変化を反映しているものといえますが、この傾向は今後ますます顕著となり、25年前の現場の安全管理体制が通用しなくなりつつあるといえます。

 

 

 

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