砂浜は、打ち寄せる波のエネルギーを吸収し陸域への波の侵入を防ぐだけでなく、生態系や我々の利用の場としても重要な役割を果たしている。しかしここ10年ほどの間に全国の海岸線に広がる19,000haほどの砂浜のうち、約13%にあたる約2,400haが侵食で消失するなど、砂浜の侵食は深刻な問題となっている。砂浜の侵食は、台風時などの強力な波のエネルギーで大きく進行することもあるが、河川や海食崖からの流入土砂の減少、人工構造物に起因する沿岸流の変化といった要因で漂砂のバランスが崩れることによって発生する。砂浜の幅は、そこに存在する砂礫の特性と、その海浜に作用する波浪などの外力との微妙なバランスの上に成り立っており、このバランスの崩れによる侵食作用もしくは堆積作用が砂浜の幅という形で現れる。
侵食が進行すると保安林の生育環境に被害を及ぼすだけでなく護岸や堤防の基礎を洗掘してしまい防波機能を低下させ、災害の危険性が高まるなど深刻な問題となる。