九十九里拡大地図
宇多 まず、九十九里浜の概略を説明しましょう。
九十九里浜は千葉県の東岸に南北に66kmにわたって続く、日本で2番目に長い砂浜の海岸で、その背後には幅約10kmという帯状の大きな平野が広がっています。
九十九里浜には、以前は最大で幅100m近い広大な砂浜が広がっていましたが、ここ数十年の間に侵食によってその幅は急速に狭まってしまって、かつてのような広大な砂浜は今は無くなりつつあります。
その最大の原因は九十九里浜に漂着する砂の量が、急激に減少しているということにあります。九十九里浜の背後に広がる幅10kmの平野は、こうして漂着した砂の堆積によって形成されていて、堆積した砂の厚さは平均して約20mほどですから、66,000m×10,000m×20m=13,200,000,000m3。
つまり、この場所にはざっと東京ドーム11,000個分の砂が漂着して堆積したことになります。
こうした砂は、その近辺の海の中にもとからあったわけではなくて、川から流れ出た土砂や、波の侵食で削られた陸地の土砂が、沿岸流という潮流に乗って海岸線に漂着したものです。ですから九十九里浜は、北東端にある屏風ヶ浦や、これから訪れる南端の太東崎などの海食の崖が太平洋の荒波で削られて流出した土砂が漂着してできた砂浜で、言い換えれば、こうした漂砂と呼ばれる砂が豊富にあることによって存在している砂浜です。
現在、九十九里浜だけではなく全国各地の砂浜が侵食傾向にありますけれども、このことは砂の需給バランスが狂ってきているということを現わしています。そしてこのバランスの崩れは、単に砂浜の減少というだけではなく、生態系や水産業など地域の産業にも大きな変化をもたらし、結果的に人間生活にも大きく影響しています。