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質疑応答・討論

 

司会進行

寺島紘士

日本財団 常務理事

 

寺島(以下発言者敬称略):日本財団の寺島でございます。本日は、私どもの海洋管理の研究セミナーにご参加いただきまして、熱心に聞いていただきまして、ありがとうございました。午前中、私どもの理事長のほうからも申し上げましたけれども、海洋法条約の発効、あるいは持続可能な開発宣言、アジェンダ21の採択と、さらにそれの一連のフォローアップというような形で、世界は海洋管理ということに向けて大きく動いてきております。私ども、一昨年ぐらいからこの問題に深く突っ込んでかかわってまいりまして、海洋シンクタンクを立ち上げようということで、去年欧米にも調査にも行ってきたりしたわけなんですが、その結果感じましたのは、海洋国日本は各国の動き、あるいは国際的な動きに比べますど、どうもちょっと大きな流れに乗り損ねているということでございまして、このままでいいのかどうか大変心配でございます。そういうことで本研究セミナーを開かせていただいた次第でございます。先ほどから出ております海洋管理、オーシャンカバナンスというのは一体何なのか。海洋の問題はなぜ総合的に取り組む必要があるのか。それからもっと言いますと、そもそも海はだれのものなのか、ボルゲーゼさんは海は人類の共同遺産というふうに申しました。全くそのとおりだと思いますが、さて日本というレベルで見てみますと、果たして日本の管轄海域は、一人一人の日本人から見て何なのか、私たちの海と考えられるような状態になっているのか、という点も大変心もとないところがございます。また、先般私ども、海賊会議を支援させていただきました。日本から東シナ海、南シナ海を通って、マラッカシンガポール海峡を抜けて、アンダマン海、インド洋に抜ける、このルートの15カ国のコーストガードのトップが日本に集まって海賊対策を議論したわけですけれども、やっぱりそこで感じましたのは、私どもは海を通じてアジアとつながっているんだということでございました。先ほど来、世界レベル、その次は地域レベル、それから各国レベルという話が出てきておりますが、アジアと日本という点から考えますと、地域レベルの取り組みも非常に大切であると思った次第でございます。

そういういろんな視点を考えて、この研究セミナーの最後の討論をしていただければ、大変ありがたいと思っております。本日お集まりの方々は、学者、研究者の方々もおりますし、行政の方々、メディアの方々、それぞれ来ていただいておりまして、こういう分野の違った方々が一堂に集まって議論をするというのはなかなかそう機会がないのではないかと思います。皆さん、それぞれの分野ではいろいろな先端的な知識情報をお持ちだと思います。ただ、残念ながら、それらの知識情報を共有する機会が非常に少なかったとと言えると思います。本日はそういう意味で、海外からの講師の皆さんを交えて、残された時間を討論していただければと思います。今までずっと聞く立場の方が多かったと思いますので、ぜひ眠気を吹き飛ばして、討論をしていただきたいと思います。

それでは、最初に講演者との質疑応答をさせていただきたいと思います。最初にボルゲーゼ先生に対する質問ですが、東京水産大学の多屋先生から漁業についてのご質問がございます。

 

 

 

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