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1999年(平成11年)

平成10年那審第59号
    件名
プレジャーボート三協丸転覆事件

    事件区分
転覆事件
    言渡年月日
平成11年6月30日

    審判庁区分
地方海難審判庁
門司地方海難審判庁那覇支部

金城隆支、清重隆彦、花原敏朗
    理事官
道前洋志

    受審人
A 職名:三協丸船長 海技免状:四級小型船舶操縦士
    指定海難関係人

    損害
船外機が濡損、船体は転覆地点付近で沈没

    原因
不可抗力(異常な気象・海象)

    主文
本件転覆は、乗船者全員が立ち上がったとき、横波を受けたことによって発生したものである。
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成10年8月8日13時00分
沖縄県慶伊瀬島クエフ島付近
2 船舶の要目
船種船名 プレジャーボート三協丸
登録長 4.81メートル
機関の種類 電気点火機関
出力 18キロワット
3 事実の経過
三協丸は、幅1.60メートル深さ0.65メートル、最大搭載人員5人のFRP製プレジャーボートで、A受審人が1人で乗り組み、プレジャーボートオルカとともに、シュノーケリングを行う目的で、平成10年8月8日11時00分那覇港を発し、同港西方の慶伊瀬島クエフ島に向かった。
オルカは、長さ9.19メートル、最大搭載人員14人のプレジャーボートで、A受審人の義兄が船長として乗り組み、二十代の女性8人を乗せ、ジェットスキーを引いていた。
A受審人は、オルカの喫水が深いのでクエフ島に接岸できないことから、乗船者を2回に分けて運ぶこととし、12時30分同島東端北方100メートルのところに同船を錨泊させた。
A受審人は、オルカの乗船者のうち4人を三協丸に乗り移らせ、船体中央部に座っているよう告げ、全員が座ったことを確かめ、船首0.1メートル船尾0.3メートルの喫水をもって、12時59分クエフ島南方灯標から055度(真方位、以下同じ。)950メートルの地点を発進し、針路を182度に定めて3.0ノットの対地速力で、右舷船首部の操縦席に座り、手動操舵により進行した。
13時00分わずか前A受審人は、船体に異常な横揺れを感じて振り向いたところ、4人全員が立ち上がっているのを認め、危ないから座わるようにと言った直後、13時00分クエフ島南方灯標から060度900メートルの地点において、三協丸は左舷側から波を受けて大傾斜し、右舷側に転覆した。
当時、天候は晴で風力1の東風が吹き、潮候はほぼ低潮時で、転覆地点の水深は1メートルであった。
転覆の結果、船外機が濡損し、A受審人と乗船者は海中に投げ出されたが、クエフ島に歩いて上陸し、オルカが引いていたジェットスキーで同船に収容され、三協丸は13時30分ごろ転覆地点付近で沈没した。

(原因)
本件転覆は、沖縄県慶伊瀬島クエフ島付近において、同島に向け航行中、乗船者全員が立ち上がったとき、左舷側から波を受けて大傾斜したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
A受審人の所為は、本件発生の原因とならない。

よって主文のとおり裁決する。






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