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海難審判庁裁決録(平成11年度)

 事業名 海難審判庁裁決録の刊行配布
 団体名 海難審判・船舶事故調査協会  




1999年(平成11年)

平成11年長審第61号
    件名
作業船やまと乗揚事件(簡易)

    事件区分
乗揚事件
    言渡年月日
平成11年12月17日

    審判庁区分
地方海難審判庁
長崎地方海難審判庁

原清澄
    理事官
畑中美秀

    受審人
A 職名:やまと船長 海技免状:一級小型船舶操縦士
    指定海難関係人

    損害
推進装置脱落、船尾端の同装置取付けボルト穴から浸水

    原因
保針措置不十分

    主文
本件乗揚は、保針措置が不十分で、岩礁に向けて進行したことによって発生したものである。
受審人Aを戒告する。
適条
海難審判法第4条第2項、同法第5条第1項第3号
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成9年12月20日03時40分
長山県瀬戸港
2 船舶の要目
船種船名 作業船やまと
登録長 7.20メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 77キロワット
3 事実の経過
やまとは、船体後部に機関室囲壁を設け、船内外機を装備したFRP製の平甲板型交通船兼作業船で、A受審人ほか1人が乗り組み、同乗者4人を乗せ、船首0.23メートル船尾0.88メートルの喫水をもって、三菱重工業株式会社長崎造船所が実施する特殊な実験作業を支援する目的で、平成9年12月19日22時40分長崎県時津港を発し、途中、同県瀬戸港に寄せて燃料油を補給することとし、長崎港に向かった。
ところで、やまとは、自動操舵装置やレーダーを装備しておらず、舵輪を機関室囲壁後端の上部に、舵輪の右舷側に機関の遠隔操縦レバーをそれぞれ設置し、同囲壁の前部と左右には風防を設けていたものの、上方には覆いを設けてなかったので、降雨時には雨合羽を着用して操船にあたらなければならず、囲壁の後方から船尾の物入れまでの操船場所が狭く、雨合羽を着用する際には体の一部などが舵輪に触れるおそれがあった。

翌20日02時50分A受審人は、瀬戸港の町営桟橋に着桟し、燃料油を約55リットル積み込んだのち、小雨の降る中、雨合羽を着用した同乗者らを前部甲板上に座らせ、自らは雨合羽を着用しないまま、機関室囲壁の後方に立ち、舵輪と機関の遠隔操縦レバーを操作しながら、03時32分同桟橋を発航して約2.5ノットの微速力で樫浦防波堤南端付近に向けて進行し、その後、同南端の東方で左転して船首を港口に向け、徐々に速力を上げながら同時39分少し前瀬戸港北防波堤南灯台(以下「南灯台」という。)から204度(真方位、以下同じ。)60メートルの地点に達したとき、針路を松島水道舵掛瀬灯浮標(以下「舵掛瀬灯浮標」という。)に向首する262度に定め、機関回転数を毎分1,250として8.0ノットの対地速力で続航した。
針路を定めて間もなくA受審人は、降雨が激しくなったので、ボタンの付いていない上下一体となった雨合羽を頭からかぶって着用することにし、左舷前方近距離に舵掛瀬などの岩礁が存在することを知っていたが、少しの間なら舵輪から手を離しても大丈夫と思い、これらの岩礁に向けて進行することのないよう、一時、他の乗組員を操舵にあたらせるなどの保針措置をとることなく、舵輪から手を離して雨合羽を着用し始め、体の一部が舵輪に触れるかしたうえ、風潮流などの影響を受けるかして徐々に左転し始めたことに気付かないまま続航した。

こうして、やまとは、A受審人が雨合羽を着用中、針路が舵掛瀬に向首する態勢となって進行し、03時40分その針路が257度となったとき、南灯台から250度350メートルの地点において、原速力のまま、同瀬北西端付近の岩礁に乗り揚げた。
当時、天候は雨で風力3の北風が吹き、潮候は下げ潮の末期で、視程は約500メートルであった。
乗揚の結果、推進装置が脱落し、船尾端の同装置取付けボルト穴から浸水したが、ビルジポンプで排水しながら自力で離礁し、のち修理された。


(原因)
本件乗揚は、夜間、長崎県瀬戸港内において、折からの降雨が激しくなった際、保針措置が不十分で、船掛瀬北西端に向けて進行したことによって発生したものである。


(受審人の所為)
A受審人は、夜間、長崎県瀬戸港内において、松島水道舵掛瀬灯浮標に向く針路で航行中、降雨が激しくなったので、ボタンの付いていない上下一体となった雨合羽を頭からかぶって着用する場合、同雨合羽を着用するにはいったん舵輪から手を離さなければならなかったし、左舷前方近距離には舵掛瀬などの岩礁が存在していたのであるから、同瀬に向かって進行することのないよう、一時、他の乗組員を操舵に就かせるなどの保針措置をとるべき注意義務があった。しかるに、同人は、少しの間なら舵輪から手を離しても大丈夫と思い、保針措置をとらなかった職務上の過失により、風潮流などの影響で徐々に左転して舵掛瀬北西端に向く態勢となり、同瀬北西端付近の岩礁に乗り揚げ、推進装置脱落などを生じさせるに至った。






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