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海難審判庁裁決録(平成11年度)

 事業名 海難審判庁裁決録の刊行配布
 団体名 海難審判・船舶事故調査協会  




1999年(平成11年)

平成11年那審第23号
    件名
漁船高吉丸乗揚事件

    事件区分
乗揚事件
    言渡年月日
平成11年11月29日

    審判庁区分
地方海難審判庁
門司地方海難審判庁那覇支部

清重隆彦、金城隆支、花原敏朗
    理事官
平良玄栄

    受審人
A 職名:高吉丸船長 海技免状:一級小型船舶操縦士
    指定海難関係人

    損害
船底全般を損傷、のち廃船

    原因
居眠り運航防止措置不十分

    主文
本件乗揚は、居眠り運航の防止措置が十分でなかったことによって発生したものである。
受審人Aを戒告する。
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成11年3月30日00時30分
沖縄県与那国島南西岸
2 船舶の要目
船種船名 漁船高吉丸
総トン数 19.81トン
登録長 14.85メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 433キロワット
3 事実の経過
高吉丸は、一本釣り漁業に従事するFRP製漁船で、A受審人ほか4人が乗り組み、深海一本釣り漁を行う目的で、船首0.9メートル船尾2.5メートルの喫水をもって、平成11年3月27日13時30分沖縄県泊漁港を発し、翌28日23時ごろ同県与那国島南方の沖ノ中ノ曽根堆に着き錨泊を開始した。
ところで、A受審人は、船橋当直を長い航海のときは乗組員全員による2時間交替とし、5時間程度の短い航海のときは自ら単独で行い、他の乗組員を休息させていた。
また、漁場到着後は、日出時から日没時まで全員で操業に従事し、夜間は錨泊して休息を取ることにしていた。

A受審人は、翌29日07時00分ごろ漁を開始して操業を続けていたところ、午後から天候が悪化したので、与那国島南側で避泊することとし、19時00分西埼灯台から144度(真方位、以下同じ。)27.0海里ばかりの地点を発して同島に向かった。
発航後、A受審人は、単独で船橋当直に就き、針路を324度に定め、4.8ノットの対地速力で、いすに腰を掛けて自動操舵により進行し、他の乗組員は、漁具の整理等を終えて休息した。
A受審人は、翌30日00時00分西埼灯台から144度2.7海里の地点に達したとき、長時間の操業及び単独の船橋当直による疲れから眠気を覚えたが、あと少しで避泊地に着くので大丈夫と思い、休息中の乗組員を昇橋させて2人当直とするなど居眠り運航防止の措置をとることなく、そのままいすに腰を掛けて当直を続けるうち、いつしか居眠りに陥った。

こうして、高吉丸は、A受審人が居眠りに陥り、与那国島南西岸に向首したまま続航中、00時30分西埼灯台から146度0.3海里の地点に、原針路、原速力のまま乗り揚げた。
当時、天候は曇で風力6の北風が吹き、潮候はほぼ低潮時であった。
乗揚の結果、船底全般を損傷し、のち廃船とされた。


(原因)
本件乗揚は、夜間、与那国島南方海域で、避泊地に向かって航行中、居眠り運航の防止措置が不十分で、同島南西岸に向首進行したことによって発生したものである。


(受審人の所為)
A受審人は、夜間、与那国島南方海域で、避泊地に向かって航行中、眠気を催した場合、長時間の操業及び単独の船橋当直による疲れから居眠りに陥るおそれがあったから、居眠り運航とならないよう、休息中の乗組員を昇橋させて2人当直とするなど居眠り運航の防止措置をとるべき注意義務があった。ところが、同人は、間もなく避泊地に到着するので大丈夫と思い、休息中の乗組員を昇橋させて2人当直とするなど居眠り運航の防止措置を取らなかった職務上の過失により、居眠り運航となって与那国島南西岸に乗り揚げ、船底全般を損傷させ、のち廃船に至らしめた。
以上のA受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。


よって主文のとおり裁決する。






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