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海難審判庁裁決録(平成11年度)

 事業名 海難審判庁裁決録の刊行配布
 団体名 海難審判・船舶事故調査協会  




1999年(平成11年)

平成11年那審第25号
    件名
旅客船第三十八あんえい号乗揚事件

    事件区分
乗揚事件
    言渡年月日
平成11年11月12日

    審判庁区分
地方海難審判庁
門司地方海難審判庁那覇支部

金城隆支、清重隆彦、花原敏朗
    理事官
平良玄栄

    受審人
A 職名:第三十八あんえい号船長 海技免状:一級小型船舶操縦士
    指定海難関係人

    損害
両舷プロペラ翼及び舵板に曲損

    原因
操船不能となった際、投錨仮泊しなかった

    主文
本件乗揚は、操船不能となった際、投錨仮泊しなかったことによって発生したものである。
受審人Aを戒告する。
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成10年11月22日13時05分
沖縄県波照間漁港港口
2 船舶の要目
船種船名 旅客船第三十八あんえい号
総トン数 19トン
登録長 18.15メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 1,182キロワット
3 事実の経過
第三十八あんえい号は、沖縄県石垣港を基地として八重山列島の諸港間を不定期に運航し、中央部にウォータージェット推進装置を備えた3基2軸の軽合金製旅客船で、A受審人ほか1人が乗り組み、旅客12人を乗せ、船首1.0メートル船尾1.8メートルの喫水をもって、平成10年11月22日12時50分沖縄県波照間漁港を発し、同県石垣港に向かった。
12時52分A受審人は、波照間港北防波堤灯台(以下「北防波堤灯台」という。)から006度(真方位、以下同じ。)420メートルの地点で、全速力前進より少し遅い22.0ノットの対地速力で航行中、突然、右舷機に次いで中央機が停止したことから、左舷機のみを使用して波照間漁港に引き返すことにした。

A受審人は、針路を波照間漁港港口に向かう150度ばかりとし、機関を微速力前進にかけ、3.0ノットばかりの速力で進行し、12時55分北防波堤灯台から356度160メートルの地点に達したとき、折から西方に流れる強潮流と北北東風とにより、船首が040度ばかりに向いて港口に向かう針路の保持ができない状況となったが、機関を後進にかけたところ、針路の保持ができたことから、船尾を港口に向けて続航した。
12時58分A受審人は、北防波堤北端と東防波堤西端との中問付近に達したが、そのころから風潮流によって操船不能となり、北防波堤の西方に押し戻されたものの、右舷機及び中央機の始動に気をとられ、投錨仮泊することに思い至らず、機関室に入って始動を試みた。
第三十八あんえい号は、風潮流により圧流され、13時05分北防波堤灯台から246度360メートルの地点で、船首が145度を向いて浅礁に乗り揚げた。

当時、天候は雨で風力5の北北東風が吹き、潮候は下げ潮の中央期であった。
乗揚の結果、旅客を救助船に移乗させ、満潮時に自力で離礁して波照間漁港に引き返したが、両舷プロペラ翼及び舵板に曲損を生じ、のち修理された。


(原因)
本件乗揚は、風潮流の強い状況のもと、沖縄県波照間漁港の港口付近において、右舷機及び中央機が使用できず、左舷機のみを使用して入航中、操船不能となった際、投錨仮泊せず、浅礁に向け圧流されたことによって発生したものである。


(受審人の所為)
A受審人は、風潮流の強い状況のもと、沖縄県波照間漁港の港口付近において、右舷機及び中央機が使用できず、左舷機のみを使用して入航中、操船不能となった場合、投錨仮泊すべき注意義務があった。しかるに、同受審人は、右舷機及び中央機の始動に気をとられ、投錨仮泊しなかった職務上の過失により、浅礁に向け圧流されて乗揚を招き、両舷プロペラ翼及び舵板に曲損を生じさせるに至った。
以上のA受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。


よって主文のとおり裁決する。






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