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海難審判庁裁決録(平成11年度)

 事業名 海難審判庁裁決録の刊行配布
 団体名 海難審判・船舶事故調査協会  




1999年(平成11年)

平成11年門審第9号
    件名
漁船真福丸乗揚事件

    事件区分
乗揚事件
    言渡年月日
平成11年11月26日

    審判庁区分
地方海難審判庁
門司地方海難審判庁

阿部能正、清水正男、平井透
    理事官
今泉豊光

    受審人
A 職名:真福丸船長 海技免状:一級小型船舶操縦士
    指定海難関係人

    損害
船底に破口、船倉に浸水、転覆、全損

    原因
居眠り運航防止措置不十分

    主文
本件乗揚は、居眠り運航の防止措置が十分でなかったことによって発生したものである。
受審人Aの一級小型船舶操縦士の業務を1箇月停止する。
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成10年4月6日01時00分
鹿児島県種子島北東岸
2 船舶の要目
船種船名 漁船真福丸
総トン数 9.7トン
全長 15.3メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 301キロワット
3 事実の経過
真福丸は、まぐろはえなわ漁業に従事するFRP製漁船で、A受審人ほか3人が乗り組み、船首1.0メートル船尾1.5メートルの喫水をもって、平成10年4月5日10時00分宮崎県川南漁港を発し、15時00分同県油津港に寄せて、食料品を積み込んだのち、18時00分同港を発して、沖縄県久米島近海の漁場に向かった。
ところで、A受審人は、油津港で他の乗組員が食料品を積み込み中に休息を3時間ほど取ったところから、船橋当直を発航後24時00分まで自らが単独で行うこととし、その後は自らと甲板員3人とで単独の3時間から4時間の4直制とした。
A受審人は、20時00分都井岬灯台から082度(真方位、以下同じ。)0.7海里の地点に達したとき、南東方に流れる海潮流の影響を受けて種子島の東岸沖合に向かうことを予想し、針路を同島北端の喜志鹿埼に向ける206度に定めて自動操舵とし、機関を全速力前進の7.5ノットにかけ、同海潮流によって4度ほど左方に圧流されながら、8.0ノットの対地速力で進行した。

A受審人は、22時00分ごろレーダーを6海里レンジとして周囲を見たものの、他船の映像が映らないことから操舵室右舷側に設置したベットの上に座って当直を続けていたところ、眠気を生じ、缶入りコーヒーを飲み、再びベットの上に座って、背中を後方の壁にもたれかかる姿勢で当直を続けているうち、23時ごろ再び眠気を感じるようになったが、あと1時間ぐらいで交代だからまさか居眠りすることはあるまいと思い、休息中の甲板員を昇橋させて早目に当直を交代するなど、居眠り運航の防止措置をとることなく、続航した。
真福丸は、A受審人がやがて居眠りに陥り、種子島北東岸に向首したまま進行し、翌6日01時00分喜志鹿埼灯台から171度5.3海里の地点にあたる安納海岸に、原針路、原速力のまま乗り揚げた。
当時、天候は曇で風力3の南南東風が吹き、潮候は上げ潮の末期で、都井岬、種子島北東端間には南東方に流れる0.7ノットの海潮流があった。

A受審人は、衝撃を感じて目覚め、事後の措置に当たった。
乗揚の結果、船底に破口を生じて船倉に浸水し、来援した種子島の漁業協同組合に所属する漁船によって14時00分引き下ろされたけれども、浸水量が増大して15時20分乗揚地点付近で左舷側に転覆し、乗組員全員は漁船に救助され、船体は鹿児島県西之表市沖ケ浜田海岸に引き付けられたが、修理不能で解体され、全損となった。


(原因)
本件乗揚は、夜間、宮崎県都井岬沖合から鹿児島県種子島北端の喜志鹿埼に向ける針路として南下中、居眠り運航の防止措置が不十分で、種子島北東岸に向首する針路のまま進行したことによって発生したものである。


(受審人の所為)
A受審人は、夜間、単独で船橋当直に当たり、宮崎県都井岬沖合から鹿児島県種子島北端の喜志鹿埼に向ける針路として南下中、眠気を感じた場合、そのまま当直を続けていれば居眠りに陥り、居眠り運航となるおそれがあったから、休息中の甲板員を昇橋させて早目に当直を交代するなど、居眠り運航の防止措置をとるべき注意義務があった。しかるに、同人は、あと1時間ぐらいで交代だからまさか居眠りすることはあるまいと思い、居眠り運航の防止措置をとらなかった職務上の過失により、当直中居眠りに陥り、種子島北東岸に向首する針路のまま進行して乗揚を招き、船底に破口を生じ、船倉に浸水させたうえ、浸水量増大によって転覆して、全損させるに至った。
以上のA受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第2号を適用して同人の一級小型船舶操縦士の業務を1箇月停止する。


よって主文のとおり裁決する。






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