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(事実) 1 事件発生の年月日時刻及び場所 平成11年1月12日05時42分 沖縄県宮古島北方フデ岩付近 2 船舶の要目 船種船名
貨物船あまみ丸 総トン数 499.61トン 全長 59.00メートル 機関の種類
ディーゼル機関 出力 992キロワット 3 事実の経過 あまみ丸は、船尾船橋型のセメント運搬船で、A受審人及びB指定海難関係人ほか4人が乗り組み、セメント722トンを載せ、船首3.7メートル船尾3.8メートルの喫水をもって、平成11年1月11日11時30分沖縄県名護市安和を発し、同県平良港に向かった。 ところで、A受審人は、B指定海難関係人が平成9年2月に甲種甲板部航海当直部員の証印を受けており、同人が豊富な船橋当直経験を持ち航海当直部員の職務全般についての知識、能力を有することを認めていたことから単独の船橋当直を任せていた。 また、A受審人は、船橋当直者には船橋当直以外の業務に従事させてなく、十分休養を取らせていた。 翌12日03時30分B指定海難関係人は、一等航海士から船橋当直を引き継ぎ、操舵室内中央やや左舷寄りのいすに腰掛けて見張りを行って進行した。 04時30分B指定海難関係人は、フデ岩灯台から050度(真方位、以下同じ。)11.7海里の地点に達したとき、ほぼ正船首方に大神島のレーダー映像を認め、これまでこの海域をほほ同じ時間帯に6回ばかり航行したことがあり、この付近からフデ岩にかけていつも右側に流されるので、左に10ないし20度の当て舵をとっていたことから、04時30分の地点からフデ岩灯台南方の転針地点への方向は224度であったが、フデ岩灯台に近づいてから適宜針路を調整することとし、針路を216度に定め、機関を全速力前進にかけて9.5ノットの対地速力で、自動操舵により続航した。 B指定海難関係人は、再びいすに腰掛けて見張りを行っているうち、眠気を催したが、いすから立ち上がって船橋内を歩くなど居眠り運航の防止措置をとらず、いつしか居眠りに陥った。 あまみ丸は、海流の影響を受けて16度ばかり右方に圧流されながら原針路、速力のまま進行し、05時42分フデ岩灯台から005度0.5海里のさんご礁に乗り揚げた。 当時、天候は晴で風力4の北東風が吹き、潮候は下げ潮の初期であった。 A受審人は、自室で就寝中、乗揚の衝撃で目を覚まして昇橋し、事後の措置に当たった。 乗揚の結果、乗組員は海上保安庁のヘリコプターにより救助されたが、船体は引き降ろし不能となった。
(原因) 本件乗揚は、夜間、沖縄県宮古島北方において、同県名護市安和から平良港に向けて航行中、居眠り運航の防止措置が不十分で、フデ岩北方のさんご礁に寄せられる針路のまま進行したことによって発生したものである。
(受審人等の所為) B指定海難関係人が、夜間、単独で船橋当直に当たって沖縄県宮古島北方沖合を航行中、居眠り運航の防止措置をとらなかったことは本件発生の原因となる。 B指定海難関係人に対しては、勧告するまでもない。 A受審人の所為は、本件発生の原因とならない。
よって主文のとおり裁決する。 |