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海難審判庁裁決録(平成11年度)

 事業名 海難審判庁裁決録の刊行配布
 団体名 海難審判・船舶事故調査協会  




1999年(平成11年)

平成10年神審第112号
    件名
貨物船八幡丸乗揚事件

    事件区分
乗揚事件
    言渡年月日
平成11年6月16日

    審判庁区分
地方海難審判庁
神戸地方海難審判庁

西田克史、須貝壽榮、米原健一
    理事官
竹内伸二

    受審人
A 職名:八幡丸船長 海技免状:四級海技士(航海)
    指定海難関係人

    損害
左舷前部船底外板に破口を伴う凹損

    原因
水路調査不十分

    主文
本件乗揚は、水路調査が十分でなかったことによって発生したものである。
受審人Aを戒告する。
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成9年5月15日00時30分
鳴門海峡
2 船舶の要目
船種船名 貨物船八幡丸
総トン数 499トン
全長 70.91メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 1,471キロワット
3 事実の経過
八幡丸は、主に岡山県小島沖で海砂を採取して阪神及び和歌山県方面への輸送に従事する船尾船橋型の砂利採取運搬船で、A受審人及び一等航海士Bほか4人が乗り組み、空倉のまま、船首1.2メートル船尾3.4メートルの喫水をもって、平成9年5月14日14時00分和歌山県新宮港を発し、広島県福山港に向かった。
ところで、A受審人は、鳴門海峡を北上するつもりで新宮港を発航するにあたり、これまでの通峡経験から、同海峡最狭部の淡路島側に浅礁域があることを知っていたものの、発航に先立ち、大縮尺の海図を入手してその拡延状況など詳細な水路調査を行わなかった。そのため、同人は、大鳴門橋橋梁灯(R2灯)(以下「右側端灯」という。)の300メートル淡路島側に位置するレーダービーコンを備えた橋脚から、南南西方に向かって浅礁が拡延し、同方向250メートルに水深0.8メートルの一ツ碆の険礁が存在していることを把握していなかった。
こうしてA受審人は、発航操船に引き続き船橋当直に就いて西行し、22時00分日ノ御埼西方沖合で昇橋したB一等航海士に船橋当直を引き継ぐ際、鳴門海峡通峡時に自ら操船指揮を執るつもりで同海峡に近づいたら起こすよう指示し、カーテンで間仕切りした船橋内後方の寝台で休息した。
当直に就いたB一等航海士は、紀伊水道を北上し、翌15日00時00分半大磯埼灯台から100度(真方位、以下同じ。)2.4海里の地点で、針路を335度に定め、機関を全速力前進にかけ、11.0ノットの対地速力で自動操舵により進行した。
00時08分B一等航海士は、手動操舵に切り替え、引き続き同一針路でいつものように操舵目標とする右側端灯に向けて続航していたところ霧模様となり、同時18分半大鳴門橋まで1海里の、鳴門飛島灯台から131度1,400メートルの地点に達したとき、急速に視界が悪化して右側端灯などの灯光が見えなくなり、そのころ1.5海里レンジとしたレーダーで鳴門海峡最狭部付近に南下船の映像を探知し、それとの航過距離に不安を感じてその距離を離そうと思い、レーダーに表示されたレーダービーコンに向けて針路を345度に転じ、直ちにA受審人に操船指揮を求めた。
A受審人は、B一等航海士を操舵に当たらせて操船の指揮を執り、レーダーにより自船がレーダービーコンに向首して予定針路線から右偏していることを知った。そして、A受審人は、このまま進行すれば一ツ碆の険礁に著しく接近する状況であったが、自船が通航できないような浅礁域は大鳴門橋の真下にあるのでそこまで行かなければ大丈夫と思い、発航に先立ち、水路調査を十分に行っていなかったので、このことに気付かず、南下船が航過すれば元の針路線に戻そうと思い、機関を極微速力前進に減じ、折からの潮流に乗じて4.5ノットの対地速力で続航した。
00時29分A受審人は、南下船のレーダー映像が左舷側に替わったのを認め、B一等航海士に左舵を命じて回頭中、00時30分突然衝撃を受け、八幡丸は、鳴門飛島灯台から039度800メートルの一ツ碆に、その船首が315度を向いたとき、ほぼ原速力のまま乗り揚げた。
当時、天候は霧で風はほとんどなく、視程は100メートルで、潮侯は上げ潮の初期にあたり、付近には約0.5ノットの北流があった。
乗揚の結果、左舷前部船底外板に破口を伴う凹損を生じ、バラストタンク等に浸水したが、間もなく自力で離礁したのちドックに回航のうえ修理された。

(原因)
本件乗揚は、夜間、鳴門海峡を北上するにあたり、水路調査が不十分で、同海峡最狭部の淡路島側にある一ツ碆の険礁に著しく接近したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
A受審人は、鳴門海峡を北上するつもりで和歌山県新宮港を発航する場合、同海峡最狭部の淡路島側に浅礁域があることを知っていたものの、その拡延状況などについては知らなかったのであるから、発航に先立ち、大縮尺の海図を入手して詳細な水路調査を行うべき注意義務があった。しかるに、同人は、自船が通航できないような浅礁域は大鳴門橋の真下にあるのでそこまで行かなければ大丈夫と思い、発航に先立ち、大縮尺の海図を入手して詳細な水路調査を行わなかった職務上の過失により、夜間、霧中において、南下船との航過距離を離すため、右転してレーダーに表示されたレーダービーコンに向けて進行し、一ツ碆の険礁に著しく接近する状況であることに気付かないまま同碆に乗り揚げ、左舷前部船底外板に破口を伴う凹損を生じさせ、バラストタンク等が浸水するに至った。
以上のA受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。

よって主文のとおり裁決する。






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