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1999年(平成11年)

平成10年那審第52号
    件名
プレジャーボートチャイルドピュアーIII乗揚事件〔簡易〕

    事件区分
乗揚事件
    言渡年月日
平成11年8月24日

    審判庁区分
地方海難審判庁
門司地方海難審判庁那覇支部

清重隆彦
    理事官
道前洋志

    受審人
A 職名:チャイルドピュアーIII船長 海技免状:四級小型船舶操縦士
    指定海難関係人

    損害
バラストキール下部に擦過傷

    原因
操船・操機不適切(さんご礁帯への進入)

    主文
本件乗揚は、さんご礁帯への進入を取り止めなかったことによって発生したものである。
受審人Aを戒告する。
適条
海難審判法第4条第2項、同法第5条第1項第3号
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成10年8月13日14時00分
沖縄県竹富島北方
2 船舶の要目
船種船名 プレジャーボートチャイルドピュアーIII
全長 7.12メートル
幅 2.13メートル
深さ 1.40メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 2キロワット
3 事実の経過
チャイルドピュアーIIIは、船内機を装備したFRP製ヨットで、A受審人が1人で乗り組み、シュノーケリングを行う目的で、友人など5人を乗せ、船首0.2メートル船尾0.3メートルの喫水及びバラストキール下端まで水面下1.1メートルで、平成10年8月13日11時00分沖縄県竹富東港を発し、同港東南東方の目的地に向かった。
A受審人は、11時30分琉球観音埼灯台(以下「観音埼灯台」という。)から164度(真方位、以下同じ。)2.8海里の地点に投錨してシュノーケリングを行った。その後、竹富島北方のさんご礁帯に移動することとして13時20分錨地を発し、帆と機関を併用して6.0ノットの対地速力で、手動操舵により進行した。そして、同時41分観音埼灯台から213度1.3海里の地点で、針路を272度に定め、同時45分帆を降ろして4.5ノットの速力とし、同時52分2.0ノットに減速して針路を243度に転じ、さんご礁帯外縁沿いに続航した。
13時57分A受審人は、観音埼灯台から236度2.1海里の地点に達したとき、以前、さんご礁帯に進入して乗り揚げたことがあったが、その際、ヨットから降りて押し、離礁して航行を続けたことがあったので大丈夫と思い、さんご礁帯の外側に投錨するなどして、さんご礁帯への進入を取り止めることなく、左舵を取り、目視により海面の色を見ながら進行した。
チャイルドピュアーIIIは間もなくさんご礁帯に進入し、速力を1.0ノットに減じて左転中、14時00分観音埼灯台から235度2.1海里の地点で、055度に向首したときさんご礁に乗り揚げた。
当時、天候は晴で風力3の南南西風が吹き、潮候は下げ潮の中央期であった。
乗揚の結果、バラストキール下部に擦過傷を生じ、高潮時を待って自力離礁した。

(原因)
本件乗揚は、竹富島北方のさんご礁帯においてシュノーケリングを行う目的で航行する際、さんご礁帯への進入を取り止めなかったことによって発生したものである。

(受審人の所為)
A受審人は、竹富島北方のさんご礁帯においてシュノーケリングを行う目的で航行する場合、以前、さんご礁帯で乗り揚げたことがあったのであるから、同帯への進入を取り止めるべき注意義務があった。ところが、同人は、さんご礁帯で乗り揚げた際、ヨットから降りて押し、離礁して航行を続けたことがあったので大丈夫と思い、さんご礁帯の外側に投錨するなどして、同帯への進入を取り止めなかった職務上の過失により、さんご礁帯に進入してさんご礁に乗り揚げ、バラストキール下部に擦過傷を生じさせるに至った。






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