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海難審判庁裁決録(平成11年度)

 事業名 海難審判庁裁決録の刊行配布
 団体名 海難審判・船舶事故調査協会  




1999年(平成11年)

平成10年長審第82号
    件名
漁船第二十四白王丸乗揚事件

    事件区分
乗揚事件
    言渡年月日
平成11年5月12日

    審判庁区分
地方海難審判庁
長崎地方海難審判庁

保田稔、安部雅生、坂爪靖
    理事官
山田豊三郎

    受審人
A 職名:第二十四白王丸船長 海技免状:一級小型船舶操縦士
    指定海難関係人

    損害
船底外板に亀裂や破口、舵住、プロペラ及び同軸に曲損

    原因
居眠り運航防止措置不十分

    主文
本件乗揚は、居眠り運航の防止措置が不十分であったことによって発生したものである。
受審人Aを戒告する。
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成10年3月17日13時50分
長崎県北松浦郡的山(あづち)大島東岸
2 船舶の要目
船種船名 漁船第二十四白王丸
総トン数 4.9トン
登録長 11.54メートル
幅 2.74メートル
深 さ0.90メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 404キロワット
3 事実の経過
第二十四白王丸(以下「白王丸という。)は、一本釣り漁業などに従事するFRP製漁船で、A受審人ほか1人が乗り組み、えさとなるいかを獲てからたい延縄漁を行う目的で、船首0.20メートル船尾1.30メートルの喫水をもって、平成10年3月17日13時00分佐賀県馬渡(まだら)島漁港を発し、長崎県五島列島西方沖合の漁場に向かった。
13時04分A受審人は、肥前馬渡島灯台から230度(真方位、以下同じ。)0.6海里の地点に達したとき、長崎県北松浦郡山大島の北方0.5海里ばかりを航過する予定で、針路を257度に定め、漁場到着時刻を調整するため、機関を全速力前進から少し下げて13.5ノットの速力とし、自動操舵として操舵室右舷側に置いたいすに腰掛け、操舵室前方の甲板上に張ったオーニングの中で甲板員に延縄漁の準備を行わせながら進行した。
定針してからしばらく経過後A受審人は、馬渡島と的山大島との間付近の船首前方に多数の小型漁船を視認し、これら漁船がいずれも6ノットばかりの速力で、互いに500メートルないし1,000メートルの距離をおいて北方へ曳網しているので、その間を通航することとして続航した。
13時30分半A受審人は、的山大島長崎鼻灯台から076度4.5海里の地点に達したとき、漁船群を避けて替わしたために予定針路線から南方に偏位したので、予定の経路を変更して的山大島南側の大屋瀬戸を通航して漁場に向かうこととし、同島に接近してから同瀬戸に向かうつもりで、さしあたり針路を的山大島東岸白崎鼻のほぼ先端に向く230度に転じ、同じ速力でいすに腰掛けて自動操舵のまま進行した。
転針後まもなくA受審人は、海象が隠やかであることや前路に他船を見なくなったことなどから気が緩み、眠気を催すようになったが、前日は休漁して十分な休養をとっていたので、まさか居眠りすることはないものと思い、立って手動操舵に当たったり、甲板員を呼んで2人で見張りに当たるなどの居眠り運航の防止措置をとることなく、自動操舵のまま漫然と続航し、13時42分的山大島長崎鼻灯台から103度2.4海里の地点に達してまもなく居眠りに陥った。
こうして白王丸は、転針の措置がとられずに進行中、13時50分的山大島港神ノ浦防波堤台から066度1.1海里の白崎鼻先端付近の岩礁に、原針路、原速力のまま乗り揚げた。
当時、天候は晴で風はほとんどなく、潮候は下げ潮の中央期であった。
乗揚の結果、船底外板に亀(き)裂や破口を、舵注、プロペラ及び同軸に曲損をそれぞれ生じたが、のち修理された。

(原因)
本件乗揚は、長崎県北松浦郡的山大島東方海域を西行中、居眠り運航の防止措置が不十分で、同島東岸白崎鼻先端付近に向首したまま進行したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
A受審人は、長崎県北松浦郡的山大島東方海域をいすに腰掛けて1人で見張りに当たり、自動操舵で西行中、漁船群を避けて前路に他船を見かけなくなったことなどで気が緩み、眠気を催すようになった場合、居眠り運航とならないよう、立って手動操舵に当たったり、甲板員を呼んで2人で見張りに当たるなどの居眠り運航の防止措置をとるべき注意義務があった。しかし、同人は、前日は休漁して十分な休養をとっていたので、まさか居眠りすることはないものと思い、いすに腰掛けたままで居眠り運航の防止措置をとらなかった職務上の過失により、居眠りに陥り、的山大島東岸の白崎鼻先端付近に向首したまま進行して乗揚を招き、船底外板に亀裂や破口を、舵柱、プロペラ及び同軸に曲損をそれぞれ生じさせるに至った。
以上のA受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。

よって主文のとおり裁決する。






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