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海難審判庁裁決録(平成11年度)

 事業名 海難審判庁裁決録の刊行配布
 団体名 海難審判・船舶事故調査協会  




1999年(平成11年)

平成10年那審第28号
    件名
引船第三十五毎日丸引船列乗揚事件〔簡易〕

    事件区分
乗揚事件
    言渡年月日
平成11年2月4日

    審判庁区分
地方海難審判庁
門司地方海難審判庁那覇支部

東晴二
    理事官
阿部能正

    受審人
A 職名:第三十五毎日丸船長 海技免状:五級海技士(航海)(履歴限定)
    指定海難関係人

    損害
船首部左舷側船底に軽度の損傷

    原因
船位確認不十分

    主文
本件乗揚は、船位の確認が十分でなかったことによって発生したものである。
受審人Aを戒告する。
適条
海難審判法第4条第2項、同法第5条第1項第3号
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成10年3月31日08時12分
沖縄県宮古列島池間島北西側水域
2 船舶の要目
船種船名 引船第三十五毎日丸 台船房州455
総トン数 108トン
全長 33.0メートル 42.0メートル
幅 15.0メートル
深さ 3.0メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 713キロワット
3 事実の経過
第三十五毎日丸(以下「毎日丸」という。)は、航行区域を近海区域(限定)とする鋼製引船で、沖縄県の各港間で台船を引く業務に従事していたところ、A受審人ほか機関長が乗り組み、非自航の鋼製台船房洲455(以下「台船」という)を引き、船首1.8メートル船尾3.2メートルの喫水をもって、平成10年3月29日16時30分沖縄県金武中城港を発し、同県宮古列島伊良部島長山港に向かった。
ところで、台船は、長山港において沖縄本島向けの廃棄車両を積載する予定のところ、発航時積載物はなく、船首、船尾ともに0.6メートルの等喫水で、作業員が3人乗り組んでおり、引船列引索は、台船船首左右から出した索に25メートルの索をつなぎ、その他端に毎日丸からの索を連結した状態で、索は径70ないし90ミリメートルのいずれも合成繊維製であり、発航後毎日丸からの索を延ばして両船間240メートルとし、台船作業員は毎日丸に移乗した。
A受審人は、台船を引いて宮古列島八重干瀬(やえびせ)の北方を経由し、翌々31日06時33分池間島灯台から335度(真方位、以下同じ。)9.2海里の地点に達したとき、針路を172度に定め、機関を全速力前進にかけ、6.5ノットの対地速力で、操舵に当たりながら進行した。
A受審人は、宮古島と伊良部島との間の海域に差しかかるので、引索の短縮、入港準備などの作業を行うため、作業員を台船に移乗させておこうと、南東風がやや強いなか、その影響のない池間島北西側水域に向かうこととし、07時37分池間島灯台から298度3.2海里の地点で、針路を同灯台に向く118度に転じ、08時00分同灯台から1.250メートルの地点に達したとき、機関を微速力前進に減じ、その後機関を適宜使用して2.0ノットの対地速力で池間島に接近した。
A受審人は、備えていた海図を見て池間島北西側ば海岸からさんご礁が拡延していることをあらかじめ確認し、作業員を移乗させる際には池間島灯台を船首目標として進行し、同灯台から800メートルの地点付近で停止したうえ台船に接舷するつもりであったが、同灯台までの距離を目測で判断できると思い、レーダー、あるいは池間島の北方と西方の各立標の方位によるなどの十分な船位確認を行うことなく、続航した。
そうするうち、A受審人は、停止予定地点を過ぎたがそのことに気付かず、08時12分そろそろ停止しようと考えていたとき、池間島灯台から298度480メートルの地点において、毎日丸は、同一の針路、速力で乗り揚げた。
当時、天候は晴で、乗揚地点付近海域では風はほとんどなく、潮候は上げ潮の末期であった。
A受審人は、機関により自力離礁できたので、台船に作業員を移乗させ、長山港に向かった。
乗揚の結果、毎日丸は、船首部左舷側船底に軽度の損傷を生じた。

(原因)
本件乗揚は、作業員を台船に移乗させるため、風の影響を受けない宮古列島池間島北西側水域に向けて進行中、レーダー、あるいは付近の立標の方位によるなどの船位の確認が不十分で、同島海岸から拡延したさんご礁に著しく接近したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
A受審人は、作業員を台船に移乗させるため、風の影響を受けない池間島北西側水域に向けて進行する場合、同島海岸から拡延したさんご礁に著しく接近しないよう、レーダー、あるいは付近の立標によるなどの十分な船位確認を行うべき注意義務があった。しかるに、同人は、池間島灯台までの距離を目測で判断できると思い、十分な船位確認を行わなかった職務上の過失により、池間島に接近し過ぎてさんご礁への乗揚を招き、船首部左舷船底に軽度の損傷を生じさせるに至った。






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