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海難審判庁裁決録(平成11年度)

 事業名 海難審判庁裁決録の刊行配布
 団体名 海難審判・船舶事故調査協会  




1999年(平成11年)

平成10年横審第46号
    件名
貨物船第六英寛乗揚事件

    事件区分
乗揚事件
    言渡年月日
平成11年1月14日

    審判庁区分
地方海難審判庁
横浜地方海難審判庁

半間俊士、長浜義昭、西村敏和
    理事官
長谷川峯清

    受審人
A 職名:第六英寛船長 海技免状:三級海技士(航海)
    指定海難関係人

    損害
船底外板に擦過傷

    原因
船位確認不十分

    主文
本件乗揚は、船位の確認が十分でなかったことによって発生したものである。
受審人Aを戒告する。
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成9年11月3日08時30分
千葉港葛南区
2 船舶の要目
船種船名 貨物船第六英寛
総トン数 695トン
全長 81.34メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 1,471キロワット
3 事実の経過
第六英寛(以下「英寛」という。)は、船尾船橋型の貨物船兼石材砂利運搬船で、A受審人ほか6人が乗り組み、石灰石約1,500トンを積載したまま、船首3.72メートル船尾4.92メートルの喫水をもって、平成9年11月3日07時20分水及び食糧補給のために寄港していた千葉港千葉第4区袖ケ浦ふ頭を発し、揚荷のための京浜港東京第4区城南島大同セメント専用バースに着岸予定が翌4日であったので、同港港外で錨泊待機するため、東京灯標付近海域に向かった。
ところで、A受審人は、船長として東京湾内各港への航海には10年の経験があり、京浜港から千葉港にかけての東京湾北部海域の状況をよく知っていた。
離岸後A受審人は、レーダーを3海里レンジとして作動させ、単独で手動操舵によって操船にあたり、千葉港北袖ケ浦第1号灯浮標を左舷に見て航過後、07時40分京葉シーバース灯から121度(真方位、以下同じ。)2.6海里の地点で、機関を全速力前進にかけて12.5ノットの対地速力とした。そして、針路を東京灯漂に向かうよう設定して自動操舵に切り替えようと、わずかに右舵がとられたままの操舵輪から手を離し、操舵スタンドの左横に設置されているGPSプロッターを見たところ、画面上に表示された船首方位線が、京葉シーバースの北東端から地東方に約450メートル離れた地点を通って東京灯標のやや北側に向く310度であったので、このまま針路を設定して自動操舵で進行することとした。しかし、このころもやのため視界が悪く、また港内であったため急いで見張りに就こうとし、自動操舵に切り替えることを失念して船橋左舷前面の窓のところに移動し、前路の見張りにあたっているうち、更に視界が悪化する状況下、針路がゆっくり右に替わりつつあることに気付かないまま進行した。
07時52分A受審人は、視程が約1海里となったことから目視による周囲の見張りに専念し、左舷側1,300メートルに京葉シーバース北東端を認めたものの、コンパスなどで船首方向の確認をしないまま、GPSプロッターの画面上に表示されていた東京灯標に向かう針路線で定針して進行しているものと思い、定めた針路線上を進行しているかどうか分かるよう、レーダーを使用するなり、同プロッターを見て船位の確認を行うことなく続航した。
双眼鏡を使用して前路の見張りをしていたA受審人は、08時25分浦安沖灯標から072度2.8海里の地点に達したとき、前方1海里ばかりに多くの竹竿(たけざお)認め、不審に思って機関を微速力前進とし、次いで前方600メートルばかりに数個の黄色浮標と多数の黒色球形浮子(あば)を認めて機関停止とし、周囲の様子を見るうち、のり養殖施設内に進入したことに気付き、機関を全速力前進にかけて同施設を損傷することなく前進行きあしを止め、船位不明のままとにかく同施設内から脱出しようと機関を極微速力前進にかけたところ、08時30分浦安沖灯標から066度3.2海里の千葉港葛南区の浅瀬に、045度を向首して乗り揚げた。
当時、天候は曇で風力1の北西風が吹き、潮候は下げ潮の初期で、もやのため視程は約1海里であった。
乗揚の結果、船底外板に擦過傷を生じたが、満潮を待って救助船によって引き降ろされ、のち修理された。

(原因)
本件乗揚は、視界狭小の東京湾北部において、千葉港千葉区袖ヶ浦ふ頭を出航し、東京灯標付近海域に向けて航行する際、船位の確認が不十分で、同港葛南区に広がる浅瀬に向かって進行したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
A受審人は、視界狭小の東京湾北部において、千葉港千葉区袖ヶ浦ふ頭から、東京灯標付近海域に向けて航行する場合、船首目標が見え難い状況であったから、定めた針路線上を自動操舵で航行しているかどうか分かるよう、レーダーを使用するなどして船位の確認を十分に行うべき注意義務があった。しかし、同人は、定針時に自動操舵に切り替えることを失念し、その後目視による前路の見張りに専念し、船位の確認を十分に行わなかった職務上の過失により、保針操舵が行われずに定めた針路から右偏していることに気付かず、同港葛南区の浅瀬に向首進行して乗り揚げ、英寛の船底に擦過傷を生じさせるに至った。
以上のA受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。

よって主文のとおり裁決する。






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