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海難審判庁裁決録(平成11年度)

 事業名 海難審判庁裁決録の刊行配布
 団体名 海難審判・船舶事故調査協会  




1999年(平成11年)

平成10年横審第97号
    件名
起重機船第三十五興生丸乗揚事件〔簡易〕

    事件区分
乗揚事件
    言渡年月日
平成11年5月11日

    審判庁区分
地方海難審判庁
横浜地方海難審判庁

猪俣貞稔
    理事官
葉山忠雄

    受審人
A 職名:第三十五興生丸船長 海技免状:四級海技士(航海)
    指定海難関係人

    損害
船首部外板に凹損

    原因
船首の圧流防止措置不十分

    主文
本件乗揚は、強風下で船尾錨を巻き込む際の船首の圧流防止措置が十分でなかったことによって発生したものである。
受審人Aを戒告する。
適条
海難審判法第4条第2項、同法第5条第1項第3号
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成10年1月11日13時00分
神奈川県湯河原海岸高潮対策工事現場
2 船舶の要目
船種船名 起重機船第三十五興生丸
総トン数 495.81トン
全長 51.74メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 882キロワット
3 事実の経過
第三十五興生丸は、船首部にジブクレーンを備えた、自航式起重機船で、A受審人ほか6人が乗り組み、高潮工事の目的で、船首1.0メートル船尾3.0メートルの喫水をもって、平成10年1月10日06時30分神奈川県三崎港を発し、同県湯河原海岸の工事現場沖に至り、翌朝の作業開始まで待機するため、同日16時20分福浦港東防波堤灯台(以下「福浦灯台」という。)から223度(真方位、以下同じ。)1,550メートルの地点で投錨仮泊した。
ところで、湯河原海岸には、千歳川河口左岸からほぼ046度の方向へ600メートルにわたって護岸が構築されており、平成元年より更に高潮対策として、その前面から70メートル隔てて、長さ180メートル幅80メートルの人工リーフ(潜提)3個を30メートルの間隔で設置する工事が行われ、それらのうち西側及び中央の2個は完成していたが、東側1個が造成中であった。
翌11日06時00分A受審人は、工事現場に向かうため抜錨し、造成中の人工リーフ東端を付け回して護岸と人工リーフとの間の水路に入り、福浦灯台から247度1,400メートルの地点において、船首を同水路に沿う226度に向けて船尾両舷錨を投下し、前進しながら直径36ミリメートルの両舷各錨索を240メートル延出して船首が中央の人工リーフ西端手前にきたところで停止し、船首両舷から各係留索をそれぞれ護岸及び同人工リーフにとって係留し、07時20分消波ブロックの移動作業を開始した。
A受審人は、11時15分静岡地方気象台から伊豆地方に強風波浪注意報が発表されたことを知らないまま作業を続けていたところ、次第に北西風が強まってきたので、12時00分消波ブロックの移動作業を中止し、乗組員を船首尾配置に就け、自らは船橋で操船指揮に当たって沖出しの準備に掛かった。
A受審人は、護岸と人工リーフとの間がわずか60メートルの水路で北西風を右舷側方に受ける状況下、240メートル延出した両舷錨索を巻き込むことになったが、風圧の影響は大したことあるまいと思い、船首両舷の各係留索に作業員を就けて張り合わせを調節させるなど船首の圧流を防止する措置をとることなく、12時30分各係留索を解放させるとともに、船尾の両舷各錨索の巻き込みを始めた。
A受審人は、機関を適宜使用して後退しながら船尾の両舷各錨索を巻き込んでいたところ、風速が次第に増して船首が左方に圧流され始めたので、12時55分ごろ船首付近に待機させておいた作業船に右舷船首からもやいをとって全速力前進で引かせたが、間に合わず13時00分船首が200度を向いたとき、福浦灯台から241度1,450メートルの地点において、左舷船首部が、造成中の人工リーフ西端に乗り揚げた。
当時、天候は曇で風力4の北西風が吹き、潮候は上げ潮の中央期にあたり、付近には微弱な北東流があった。
乗揚の結果、船首部外板に凹損を生じたが、のち修理された。

(原因)
本件乗揚は、湯河原海岸の高潮対策工事現場において、護岸と人工リーフの間の水路に船尾錨を使用して係留中、船横方向からの風勢が増し、沖出しのため錨を巻き込む際、船首の圧流防止措置が不十分で、船首が人エリーフ側に圧流されたことによって発生したものである。

(受審人の所為)
A受審人は、湯河原海岸の高潮対策工事現場において、護岸と人工リーフの間の水路に船尾錨を使用して係留中、船横方向からの風勢が増し、沖出しのため錨を巻き込む場合、錨を揚げ終えるまで船首両舷の各係留索の張り合わせを調節させるなど船首の圧流防止措置をとるべき注意義務があった。しかしながら、同人は、風圧の影響は大したことあるまいと思い、船首の圧流防止措置をとらなかった職務上の過失により、右舷側方から強風を受けて船首が人工リーフ側に圧流されてこれに乗り揚げ、船首部外板に凹損を生じさせるに至った。






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