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海難審判庁裁決録(平成11年度)

 事業名 海難審判庁裁決録の刊行配布
 団体名 海難審判・船舶事故調査協会  




1999年(平成11年)

平成10年神審第127号
    件名
プレジャーボートフェリーゼロコバ乗揚事件〔簡易〕

    事件区分
乗揚事件
    言渡年月日
平成11年8月27日

    審判庁区分
地方海難審判庁
神戸地方海難審判庁

須貝壽榮
    理事官
副理事官 山本茂

    受審人
A 職名:フェリーゼロコバ船長 海技免状:一級小型船舶操縦士
    指定海難関係人

    損害
バラストキール下端に亀裂

    原因
水路調査不十分(水深に対する配慮)、操船・操機不適切(遡航)

    主文
本件乗揚は、水深に対する配慮が不十分で、浅所の存在する河川の遡航を中止しなかったことによって発生したものである。
受審人Aを戒告する。
適条
海難審判法第4条第2項、同法第5条第1項第3号
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成9年12月14日07時30分
大阪港大阪区
2 船舶の要目
船種船名 プレジャーボートフェリーゼロコバ
登録長 8.40メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 33キロワット
3 事実の経過
フェリーゼロコバ(以下「ゼロコバ」という。)は、船体中央部にマスト及びキャビンを有し、その後方に操縦席を設けたFRP製ヨットで、A受審人が平成9年10月に取得後、大阪港堺泉北区第2区東奥にあるサウスポイントと称するヨットハーバーを係留地にしていたところ、同人が1人で乗り組み、家族3人を乗せ、大阪南港南防波堤灯台西方沖合を巡航する目的で、バラストキール下端まで1.60メートルの喫水をもって、同年12月13日15時00分係留地を発し、機走のみにより目的の海域に向かった。
A受審人は、機走及び帆走による試運転のため、これまでに係留地から同海域まで昼間に2回航行したことはあったが夜間航行の設備も経験もなかったことから、日没後のあまり暗くならないうちに折り返し係留地に帰着するつもりで、発航後間もなく機関を6.0ノットの全速力前進にかけ、堺南航路をこれに沿って進行した。
やがてA受審人は、堺南航路第7号灯浮標を通過後、同航路の北側に出て大阪港大阪区を北西進し、16時00分ごろ目的の海域に差し掛かったとき、機関が不調となり、漂泊のうえ調査した結果、燃料管に亀裂が生じて燃料に空気が混入する状態であることが判明し、その応急修理に取り掛かった。
その後A受審人は、応急修理を終え、機関を微速力で運転できるようにしたとき、日没が迫っていて、直ちに帰航するのは無理であると判断した。そして、携帯電話などの通信手段がなかったので、最寄りの南港北ふ頭に接岸して陸上の電話により、係留地の修理業者に連絡をとって修理の依頼をするつもりで、接岸できそうな場所を探しながら同ふ頭南側の南港に入ったが、いずれの岸壁もゼロコバにとって高さが高く、適当な岸壁が見つからなかったことから、翌朝まで仮泊することに決め、17時00分ごろ大阪南港南防波堤灯台から075度(真方位、以下同じ。)1,650メートルの地点に投錨した。
翌14日06時40分A受審人は、夜明けを待って揚錨のうえ、係留地に向けて帰途に就き、操縦席において立った姿勢で手動操舵に当たり、機関を3.0ノットの微速力前進にかけ、南港中ふ頭の南側沿いを東進後、南下した。
やがてA受審人は、南港南3丁目と南港南ふ頭側との間に架かるかもめ大橋の下を抜け、07時18分少し過ぎ大阪南港沖防波堤灯台を右舷側230メートルに通過し、西向きに大阪湾に注いでいる大和川の右岸からその河口に入ったとき、左舷方を見たところ、1,050メートル上流の右岸に、甲板上に渡船業を営む事務所を設けた長さ20メートル幅7メートルの台船が、同岸の堤防際から20メートル隔てた状態で係留しているのを認めたが、この時点では、あと3海里の航程で係留地まで自力航行が可能であり、速やかに同台船に横付けして修理業者と連絡をとる必要はなくなっていた。
ところで、大和川河口は、北側が大阪港大阪区、南側が同港堺泉北区となっていて、両区の境界線南側には東西方向に堺北航路が設けられ、水深が14メートルに掘り下げられているものの、北側の大阪区側は浚渫されておらず、南港南3丁目南西端から上流には浅所が随所に存在していた。
しかし、A受審人は、当時、備え付けていた海図第1103号には大和川の水深の記載がなく、河口から上流にかけての水路調査を行うことができなかったが、過去に知人から水深が十分でないことを知らされていた。さらに、上流には渡船業を営む台船以外に係留船も航行船も見当たらなかったので、バラストキールを有するゼロコバが水路事情の不案内な同川を遡航するのは危険であると認め得る状況にあった。
A受審人は、大和川の水深について十分配慮しないまま、なんとか前示の渡船業を営む台船までは航行できると思い、同川の遡航を中止してそのまま係留地に向かうことなく、同台船に赴いて修理業者と連絡をとることとし、07時18分半大阪南港沖防波堤灯台から107度230メートルの地点に達したとき、針路を091度に定め、引き続き機関を3.0ノットの微速力前進にかけ、同川右岸を70メートル隔てながらこれに沿って続航した。
そして、A受審人は、07時30分同台船を左舷船首50メートルに見るようになったとき、大阪南港沖防波堤灯台から094度1,280メートルの地点において、ゼロコバは、原針路、原速力のまま、バラストキールを浅所に乗り揚げた。
当時、天候は曇で風力2の北北東風が吹き、潮候は下げ潮の初期であった。
乗揚の結果、高潮時を待って渡船業者によって引き下ろされたが、バラストキール下端に長さ48センチメートルの亀裂を生じた。

(原因)
本件乗揚は、大阪港において、大阪区南港北ふ頭近くの仮泊地から堺泉北区の係留地に向けて帰航中、大和川河口に差し掛かった際、水深に対する配慮が不十分で、同川上流に係留中の台船に赴いて陸上の修理業者と連絡をとるため、浅所の存在する同川の遡航を中止することなく進行したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
A受審人は、大阪港大阪区において、南港北ふ頭近くの仮泊地を発進後、同港堺泉北区の発航地へ向けて帰航中、大和川河口に差し掛かった場合、あと3海里の航程でそのまま係留地に到着することは可能であり、速やかに修理業者と連絡をとる必要がなく、また、上流には渡船業を営む台船以外に係留船も航行船も見当たらなかったので、バラストキールを有するゼロコバが水路事情の不案内な同川を遡航するのは危険であると認め得る状況であったから、水深に配慮して同川の遡航を中止すべき注意義務があった。しかるに、同人は、右岸に同台船が係留しているので、そこまでは航行できると思い、水深に配慮して同川の遡航を中止しなかった職務上の過失により、同川の浅所に乗り揚げバラストキール下部に損傷を生じさせるに至った。






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