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海難審判庁裁決録(平成11年度)

 事業名 海難審判庁裁決録の刊行配布
 団体名 海難審判・船舶事故調査協会  




1999年(平成11年)

平成11年門審第25号
    件名
貨物船ビック ドン乗揚事件

    事件区分
乗揚事件
    言渡年月日
平成11年7月23日

    審判庁区分
地方海難審判庁
門司地方海難審判庁

宮田義憲、清水正男、西山烝一
    理事官
伊東由人

    受審人
    指定海難関係人

    損害
機関室下部船底外板の4箇所にわたって破口、のち沈没、全損

    原因
水路調査不十分

    主文
本件乗揚は、水路調査が十分でなかったことによって発生したものである。
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成10年12月16日12時50分
関門港白島区
2 船舶の要目
船種船名 貨物船ビック ドン
総トン数 3,804.00トン
全長 105.57メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 2,794キロワット
3 事実の経過
ビック ドン(以下「ビ号」という。)は、専ら日本、中華人民共和国、大韓民国及び台湾の各港に就航する船尾船橋型貨物船で、大韓民国人の船長A及び同国人2人並びに中華人民共和国人2人及びミャンマー連邦人11人が乗り組み、ろう石4,000トンを積載し、船首418メートル船尾7.18メートルの喫水をもって、平成10年12月15日17時00分大韓民国蘆花島を発し、千葉港に向かった。
A船長は、船橋当直を自らと一等航海士及び二等航海士の3人で、4時間交替制として、夜間はそれぞれ1人の操舵手を補佐させて2人当直とし、自らは08時00分及び20時00分からの時間帯として甲板長に補佐させ、対馬沖合を航過して関門海峡に向けて進行した。
A船長は、これまで何度も通航した経験があり、状況のよく分かっている白島北方を経由して関門航路を通航するつもりで、九州北岸に接近し、翌16日10時00分ごろ筑前大島灯台から294度(真方位、以下同じ。)14.5海里の地点において、針路を089度に定めて自動操舵とし、機関を10.0ノットの全速力前進にかけ、折からの潮流によって左方へ1度圧流されながら10.5ノットの対地速力で続航した。
A船長は、11時15分ごろ筑前大島灯台から357度6.2海里の地点で二等航海士と船橋当直を交替し、降橋して食堂で昼食をとっていたとき、揚地代理店から荷役の都合上同月18日12時00分までに千葉港に到着するよう要請を受けた。
A船長は、代理店の要請に沿って一刻も早く到着できるよう、11時35分ごろ昇橋して状況を見たうえ、航海計画を変更することとしたが、これまでに自船とほほ同型の船舶が白島南方の航路を通航しているのを見たことがあったところから、30分ばかり航海時間を短縮して安全に同航路を航過できるものと考え、自船の喫水を勘案して女島南端から南方1.4海里に拡延する浅瀬(以下「浅瀬」という。)と同浅瀬の南端から南東方1,000メートルばかりに存在する中瀬との相対位置関係や同瀬の正確な位置を把握するなど、海図や水路誌をあたり、水路調査を十分に行わないまま、これまでに一度も通航したことのない、小型船の航路である白島及び白州南方を経由して関門航路を通航することとした。
A船長は、11時40分妙見埼灯台から297度10.6海里の地点に達したところで、浅瀬をほぼ500メートル離して航過するつもりで、当直中の二等航海士に針路を102度に変更するよう指示し、同人に補佐させて進行した。
12時30分A船長は、二等航海士に手動操舵に切り替えるよう指示して、そのまま同人を操舵に就け、レーダーを監視しながら、同時33分妙見埼灯台から354度3.0海里の地点で針路を108度に転じ、さらに同時43分女島南端から1.4海里にあたる、同灯台から030度2.8海里の地点で北への圧流を見込んで110度とし、中瀬に著しく接近する針路で続航した。
A船長は、浅瀬の南端に接近した12時48分妙見埼灯台から046度3.1海里の地点で、浅瀬を十分に離すつもりで針路を115度に転じ、中瀬に向首する針路となったものの、これに気付かずに進行し、同時50分少し前レーダーで測位した船位から浅瀬を替わったのを認めて左舵5度を令し、針路を090度にするため左転中、110度を向いたとき、衝撃を受け、12時50分妙見埼灯台から051度3.2海里の地点において、ビ号は、原速力のまま、中瀬に乗り揚げ、これを乗り切った。
当時、天候は晴で風力4の西北風が吹き、潮候は下げ潮の末期で、付近海域には0.1ノットの東方流があり、視界は良好であった。
乗揚の結果、機関室下部船底外板の4箇所にわたって破口を生じた。
A船長は、衝撃によって乗り揚げたことを知ったものの、なお中瀬に思い至らず、北方へ圧流されて浅瀬を乗り切ったものと思い、針路を090度としてそのまま進行したところ、13時00分機関室から浸水の知らせを受け、その後発電機及び機関が停止したので、右舷錨を投下して前進投錨を試みたものの、前進惰力が大きく錨鎖が破断して果たせず、速力の低下を待ち、13時10分左舷錨を投入してようやく妙見埼灯台から067度5.0海里の地点において、錨泊したものの、その間を通じて浸水は止まらず、やむなく退船を決意して救助を要請し、15時40分乗組員は全員来援した巡視艇に移乗したが、ビ号は、なお浸水がやまず、21時00分同地点において沈没して全損となった。

(原因)
本件乗揚は、関門航路を通航する目的で、航海計画を変更して白島南方の航路を航行するにあたり、水路調査が不十分で、中瀬に向首進行したことによって発生したものである。

よって主文のとおり裁決する。






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