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1999年(平成11年)

平成11年門審第6号
    件名
漁船ふじえ丸プレジャーボートトレバリー衝突事件

    事件区分
衝突事件
    言渡年月日
平成11年12月20日

    審判庁区分
地方海難審判庁
門司地方海難審判庁

西山烝一、阿部能正、清水正男
    理事官
千手末年

    受審人
A 職名:ふじえ丸船長 海技免状:四級小型船舶操縦士
B 職名:トレバリー船長 海技免状:四級小型船舶操縦士
    指定海難関係人

    損害
ふじえ丸・・・・船尾ブルワーク凹損及びオーニング破損
トレバリー・・・船底キールに擦過傷、船長が左鎖骨骨折、前額切傷等

    原因
トレバリー・・・追い越しの航法(避航動作)不遵守

    主文
本件衝突は、トレバリーが、先航するふじえ丸との船間距離が不十分で、ふじえ丸に著しく接近したことによって発生したものである。
受審人Bを戒告する。
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成10年9月15日08時45分
鹿児島県鹿屋港北西方沖合
2 船舶の要目
船種船名 漁船ふじえ丸 プレジャーボートトレバリー
総トン数 1.0トン
全長 7.04メートル 6.98メートル
機関の種類 ディーゼル機関 電気点火機関
出力 36キロワット 102キロワット
3 事実の経過
ふじえ丸は、船体後部にオーニング付きの操縦スタンドがあるFRP製漁船で、A受審人が1人で乗り組み、魚釣りの目的で、船首、船尾とも0.35メートルの喫水をもって、平成10年9月15日08時30分鹿児島県垂水南漁港(柊原(くぬぎばる)地区)(以下、「垂水南漁港」という。)を発し、同県垂水市大都沖合の釣り場に向かった。
A受審人は、同港南側防波堤の先端を替わしたのち、08時35分鹿屋港北防波堤灯台(以下「北防波堤灯台」という。)から316.5度(真方位、以下同じ。)4.7海里の地点において、針路を132度に定め、機関を11.4ノット(対地速力、以下同じ。)の全速力前進にかけ、手動操舵により進行した。

A受審人は、操縦スタンドで立った姿勢で操舵に当たり、08時40分北防波堤灯台から318度3.8海里の地点に達したとき、ほぼ正船尾後方120メートルのところにトレバリーを初認した。
A受審人は、その後、トレバリーが次第に接近し、08時43分正船尾やや左20メートルとなり、そのまま自船とほぼ同針路及び同速力として等距離を保って追尾してきたものの、このことを知らずに続航し、同時45分少し前左舷船首方の遊漁船と近距離で航過する態勢になったことから、航走波の影響を少なくすることとし、機関を半速力前進に減速したところ、08時45分北防波堤灯台から320度2.8海里の地点において、ふじえ丸は、6.5ノットの速力で、原針路のままその船尾中央に、トレバリーの船首が左舷後方から5度の角度で衝突した。
当時、天候は晴で風はほとんどなく、潮候はほぼ低潮時であった。

また、トレバリーは、中央部に操縦室がある船外機付きのFRP製プレジャーボートで、B受審人が1人で乗り組み、魚釣りの目的で、船首0.2メートル船尾0.4メートルの喫水をもって、同日06時00分同県鹿屋港を発し、同県喜入町沖合に向かった。
B受審人は、同沖合でトローリングを行ったものの釣果がなかったことから、知人であるA受審人に釣り場等の情報を聴くつもりで、ふじえ丸が係留されている垂水南漁港に向かい、08時ごろ同港に入航して上陸し、たまたま港にいた友人と雑談しているうち、ふじえ丸が出航するのを認め、同船の後を追っていくこととし、同時33分同港を発航した。
B受審人は、同港南側防波堤の先端を替わしたのち、機関を半速力前進として同防波堤の出入口の東側にあるいけすを左舷側に見て航過し、08時37分半北防波堤灯台から317度4.3海里の地点において、針路を先航するふじえ丸のほぼ正船尾に向首する、同船と同一針路の132度に定め、機関を半速力前進より少し上げた12.5ノットの速力で、操縦室の天井から顔を出して立った姿勢で操船に当たり、同船を注視して進行した。

B受審人は、ふじえ丸を正船首やや右に見る態勢で同船との距離を徐々に詰めながら続航し、08時43分北防波堤灯台から319度3.2海里の地点に達したとき、自船の右舷船首がふじえ丸の左舷船尾に20メートルに接近し、機関の回転数を調節して同船とほぼ同速力として、そのまま追尾していくことにしたが、同船が針路や速力を変更することはないと思い、先航するふじえ丸の動作に対応できるよう、船間距離を十分にとることなく、接近した状況のまま進行した。
08時45分少し前B受審人は、左舷船首方に認めた遊漁船を替わすため、右転してふじえ丸の右舷船尾後方に移動することとし、小角度の右舵をとったところ、同船の航走波の影響を受けて操舵が不安定となり、ふじえ丸の船尾に著しく接近して衝突の危険を感じ、機関を全速力後進としたが効なく、前示のとおり衝突した。

衝突の結果、トレバリーの船首部がふじえ丸の船尾甲板に乗り上げて間もなく離れ、ふじえ丸は、船尾ブルワークに凹損及びオーニングに破損を生じたが、その後修理され、トレバリーは、船底キールに擦過傷を生じ、A受審人は、左鎖骨骨折、前額切傷等を負った。

(原因)
本件衝突は、鹿児島県鹿屋港北西方沖合において、トレバリーが先航するふじえ丸を追尾して航行中、同船との船間距離が不十分で、同船に著しく接近したことによって発生したものである。


(受審人の所為)
B受審人は、鹿児島県鹿屋港北西方沖合において、先航するふじえ丸を追尾して航行する場合、先航する同船の動作に対応できるよう、船間距離を十分にとるべき注意義務があった。しかしながら、同人は、同船が針路や速力を変更することはないと思い、船間距離を十分にとらなかった職務上の過失により、左舷船首方の遊漁船を替わすために右転した際、ふじえ丸の船尾に著しく接近して衝突を招き、ふじえ丸の船尾ブルワークに凹損及びオーニングに破損を、トレバリーの船底キールに擦過傷を生じさせ、A受審人に鎖骨骨折、前額切傷等を負わせるに至った。
以上のB受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。
A受審人の所為は、本件発生の原因とならない。


よって主文のとおり裁決する。

参考図






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