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1999年(平成11年)

平成10年門審第109号
    件名
油送船新共和丸貨物船サウザン プリンセス8衝突事件

    事件区分
衝突事件
    言渡年月日
平成11年7月14日

    審判庁区分
地方海難審判庁
門司地方海難審判庁

清水正男、西山烝一、平井透
    理事官
喜多保

    受審人
A 職名:新共和丸船長 海技免状:三級海技士(航海)
    指定海難関係人

    損害
新共和丸…左舷船首部外板及び同舷船首楼甲板に凹損
サ号…右舷側後部外板に破口及び凹損

    原因
新共和丸…動静監視不十分、海交法の航法(避航動作)不遵守(主因)
サ号…警告信号不履行、海交法の航法(協力動作)不遵守(一因)

    主文
本件衝突は、水島航路をこれに沿って南下中の新共和丸が、動静監視不十分で、備讃瀬戸北航路をこれに沿って西の方向に航行しているサウザン プリンセス8の進路を避けなかったことによって発生したが、サウザン プリンセス8が、警告信号を行わず、衝突を避けるための協力動作をとらなかったことも一因をなすものである。
受審人Aを戒告する。
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成9年10月15日19時36分
備讃瀬戸北航路・水島航路
2 船舶の要目
船種船名 油送船新共和丸 貨物船サウザン プリンセス8
総トン数 2,845トン 2,972.00トン
全長 102.00メートル 95.80メートル
機関の種類 ディーゼル機関 ディーゼル機関
出力 2,206キロワット 2,059キロワット
3 事実の経過
新共和丸は、可変ピッチプロペラを装備した石油精製品の輸送に従事する船尾船橋型油送船で、A受審人ほか13人が乗り組み、ジェット燃料5,000キロリットルを載せ、船首540メートル船尾6.30メートルの喫水をもって、平成9年10月15日18時40分岡山県水島港を発し、大阪府泉州港の関西国際空港に向かった。
A受審人は、法定灯火及び危険物積載船であることを示すせん光を発する紅色全周灯を表示し、甲板手1人を操舵に就け、出港から引き続き自ら操船に当たり、水島航路から備讃瀬戸南航路に入航するつもりで水島航路をこれに沿って南下し、19時23分少し前、香川県丸亀市向島三角点(47メートル)から096度(真方位、以下同じ。)880メートルの地点において、針路を161度に定め、機関を回転数毎分220にかけて推進器を港内全速力前進の翼角14.5度とし、9.0ノットの対地速力で手動操舵により進行した。
19時30分A受審人は、鍋島灯台から287度1.2海里の地点に達したとき、左舷船首40度1.1海里のところに備讃瀬戸北航路をこれに沿って西の方向に航行するサウザン プリンセス8(以下「サ号」という。)の白、白、緑3灯及び紅色せん光灯を初認し、その後その方位が変わらず衝突のおそれがある態勢で接近するのを認め得る状況にあったが、サ号が自船の前路を替わるものと思い、衝突するおそれがあるかどうかを判断できるよう、コンパス方位を確かめるなどしてその動静を十分に監視することなく、折からの潮流によって右方に14度圧流されながらサ号と衝突のおそれがある態勢で接近していることに気付かず、速力を減ずるなどしてサ号の進路を避けないまま続航した。
A受審人は、19時35分鍋島灯台から249度1.2海里の地点に達したとき、左舷前方250メートルまで接近したサ号を認め、不安を感じて推進器の翼角を微速力前進の6度として減速したものの、同時36分少し前サ号が至近に迫ったのを認め、ようやく衝突の危険を感じて右舵一杯を令し、推進器を翼角0度から更に全速力後進の翼角25度としたが効なく、19時36分鍋島灯台から242度1.2海里の地点において、新共和丸は、船首が191度を向き、速力が3.0ノットとなったとき、その左舷船首部が、サ号の右舷側後部に後方から34度の角度で衝突した。
当時、天候は晴で風力2の北東風が吹き、付近には約2ノットの西南西流があり、視界は良好であった。
また、サ号は船尾船橋型ケミカルタンカーで、船長Bほか17人が乗り組み、酢酸ビニル約1,025トンを載せ、船首2.45メートル船尾5.00メートルの喫水をもって、同日13時00分神戸港を発し、大韓民国蔚山港に向かった。
B船長は、自ら操船に当たり、法定灯火及び危険物積載船であることを示すせん光を発する紅色全周灯を表示していることを確かめ、一等航海士を補佐に、甲板手1人を操舵にそれぞれ就け、備讃瀬戸東航路を西行して同北航路に入り、19時30分鍋島灯台から220度560メートルの地点において、北備讃瀬戸大橋の下を通過し、針路を255度に定め、機関を港内全速力前進にかけ、潮流に乗じて10.0ノットの対地速力で手動操舵により進行した。
定針したころB船長は、右舷船首46度1.1海里のところに、水島航路をこれに沿って南下する新共和丸の白、白、紅3灯及び紅色せん光灯を初認し、その後その方位が変わらず衝突のおそれがある態勢で接近することを知ったが、警告信号を行わないで、その動静を監視しながら航行した。
B船長は、19時34分鍋島灯台から244度1,700メートルの地点に達したとき、新共和丸が依然避航の動作をとらないまま接近するのを認め、左舵をとってゆっくり左転を開始し、昼間信号灯により同船に対して注意を喚起したものの、問近に接近しても速力を減ずるなどして衝突を避けるための協力動作をとらないで続航中、サ号は、船首が225度を向いたとき、原速力のまま、前示のとおり衝突した。
衝突の結果、新共和丸は、左舷船首部外板及び同舷船首楼甲板に凹損を生じたがのち修理され、サ号は、右舷側後部外板に破口及び凹損を生じた。

(原因)
本件衝突は、夜間、備讃瀬戸北航路と水島航路との交差部において、水島航路から備讃瀬戸南航路に入航するつもりで水島航路をこれに沿って南下する新共和丸が、動静監視不十分で、備讃瀬戸北航路をこれに沿って西の方向に航行するサ号の進路を避けなかったことによって発生したがサ号が、警告信号を行わず、衝突を避けるための協力動作をとらなかったことも一因をなすものである。

(受審人の所為)
A受審人は、夜間、水島航路から備讃瀬戸楠航路に入航するつもりで水島航路をこれに沿って南下中、備讃瀬戸北航路をこれに沿って西の方向に航行するサ号の白、白、緑3灯を視認した場合、衝突するおそれがあるかどうかを判断できるよう、コンパス方位を確かめるなどして、動静監視を十分に行うべき注意義務があった。しかるに、同人は、サ号が自船の前路を替わるものと思い、動静監視を十分に行わなかった職務上の過失により、サ号の進路を避けることなく進行して同号との衝突を招き、新共和丸の左舷船首部外板及び同舷船首楼甲板に凹損を、サ号の右舷側後部外板に破口及び凹損を生じさせるに至った。
以上のA受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。

よって主文のとおり裁決する。

参考図






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