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海難審判庁裁決録(平成11年度)

 事業名 海難審判庁裁決録の刊行配布
 団体名 海難審判・船舶事故調査協会  




1999年(平成11年)

平成11年仙審第32号
    件名
貨物船百洋丸養殖施設損傷事件

    事件区分
施設等損傷事件
    言渡年月日
平成11年12月9日

    審判庁区分
地方海難審判庁
仙台地方海難審判庁

上野延之、長谷川峯清、内山欽郎
    理事官
黒田均

    受審人
A 職名:百洋丸船長 海技免状:一級海技士(航海)
    指定海難関係人

    損害
養殖施設の養殖棚などが損傷

    原因
船位確認不十分

    主文
本件養殖施設損傷は、船位の確認が十分でなかったことによって発生したものである。
受審人Aを戒告する。
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成10年9月6日23時15分
岩手県大船渡港
2 船舶の要目
船種船名 貨物船百洋丸
総トン数 4,992.39トン
全長 125.28メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 5,736キロワット
3 事実の経過
百洋丸は、国内各港間のセメント輸送に従事する船尾船橋型鋼製セメント専用船で、A受審人ほか13人が乗り組み、セメント7,944トンを積載し、船首7.06メートル船尾7.99メートルの喫水をもって、平成10年9月6日22時45分岩手県大船渡港最奥部の野島桟橋を離桟し、宮城県塩釜港仙台区に向かった。
ところで、大船渡湾口防波堤から西側の両岸付近には、かき等の養殖のための区画漁業権漁場が存在し、それらの漁場は、大船渡湾口南防波堤灯台(以下「南防波堤灯台」という。)から271度(真方位、以下同じ。)1,050メートルの地点を基点とし、同基点から339度110メートルの地点(ア点)、ア点から021.5度200メートルの地点(イ点)、イ点から084度300メートルの地点(ウ点)、ウ点から121度700メートルの地点(エ点)、エ点から196度350メートルの地点を順に結んだ線と陸岸とで囲まれた区域及び南防波堤灯台から012.5度500メートルの地点を基点とし、同基点から194度250メートルの地点(オ点)、オ点から314度400メートルの地点(カ点)、カ点から342度800メートルの地点(キ点)、キ点から031度900メートルの地点(ク点)、ク点から345.5度400メートルの地点(ケ点)、ケ点から063.5度550メートルの地点を順に結んだ線と陸岸とで囲まれた区域で、それら区域内にかき等の養殖施設(以下「養殖施設」という。)が設置されており、ア、イ、ウ、エ、オ、カ、キ、ク、ケの各点に黄色灯火を備えた灯浮標が設置されていたが、当日カ点の黄色灯浮標(以下、灯浮標の名称中「黄色灯浮標」を省略する。)の灯火が他船の衝突により消灯していた。
離桟後A受審人は、もやがかかり約1海里の視程だったことから船橋配置として甲板手を操舵に、三等航海士を主機遠隔制御操作に、二等航海士をレーダー監視に及び甲板手1人を見張りに並びに船首配置として一等航海士ほか甲板部員2人をそれぞれ当てて、自ら操船指揮を執って南下し、23時07分大船渡港参珊琥島南灯台から333度380メートルの地点で、針路を188度に定め、機関を半速力前進にかけ、8.0ノットの対地速力(以下「速力」という。)で進行した。

A受審人は、他船で船長として夜間を含めて大船渡港の入出航を20回くらい経験し、大船渡港内の沿岸に多数の養殖施設が設置されていることを知っており、出航の進路については、離桟したのち陸岸と珊琥島西岸との間を南下し、その後大船渡湾口北防波堤灯台(以下「北防波堤灯台」という。)及び南防波堤灯台の間の入口中央に向く、大船渡港導灯が示す129度の針路(以下「港口に向かう針路」という。)に転針して大船渡港を出航していた。平素、同人は港口に向かう針路に転じる際、コンパスで南、北両防波堤灯台の方位を測定するとかレーダーを活用して前路の養殖施設までの距離を測定するとかしないで、カ点の灯火が北防波堤灯台に重なる地点(以下「転針地点」という。)に達したとき、左転を開始して港口に向かう針路に転じていた。
定針したのち、A受審人は、二等航海士にレーダーの監視をやめて肉眼でカ点の灯火を見つけるように指示し、自らも同灯火を探しながら続航し、23時12分南防波堤灯台から324度1,350メートルの転針地点で、エ点の灯火を認めたが今回昼間に入航したのでカ点の灯火が消灯していることを知らなかったことから三点の灯火をカ点の灯火と思い、コンパスで南、北両防波堤灯台の方位を測定するとかレーダーを有効に活用して前路の養殖施設までの距離を測定するなど船位の確認を十分に行うことなく、養殖施設に向首して進行し、エ点の灯火が北防波堤灯台に重ならないかと見ていて転針地点を航過したことに気付かず、同時13分南防波堤灯台から314度1,180メートルの港口に向かう針路上に達したが、依然同灯火が北防波堤灯台に重ならないかと見ながら続航し、同時14分半船首方至近に養殖施設を初めて認め、船首尾のスラスタを左転全出力及び左舵一杯とし、機関を停止したが及ばず、23時15分南防波堤灯台から292度900メートルの地点において、百洋丸は、ほぼ原速力のまま、船首が約140度に向いたとき、その船首が養殖施設に乗り入れた。
当時、天候はもやで風力1の北北西風が吹き、潮候は上げ潮の中央期であった。
その結果、百洋丸は損傷がなかったが、養殖施設の養殖棚などが損傷した。


(原因)
本件養殖施設損傷は、夜間、大船渡港を出航中、船位の確認が不十分で、養殖施設に向首して進行したことによって発生したものである。


(受審人の所為)
A受審人は、夜間、大船渡港を出航中、港口に向かう針路に転針する場合、転針地点に達したかどうかを判断できるよう、コンパスで南、北両防波堤灯台の方位を測定するとかレーダーを有効に活用して前路の養殖施設までの距離を測定するなと船位の確認を十分に行うべき注意義務があった。しかるに、同人は、カ点の灯火が消化していることを知らなかったことからエ点の灯火をカ点の灯火と思い、船位の確認を十分に行わなかった職務上の過失により、転針地点を航過したことに気付かず、養殖施設に向首して進行し、同施設への乗り入れを招き、養殖施設の養殖棚などに損傷を生じさせるに至った。
以上のA受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。


よって主文のとおり裁決する。






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