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海難審判庁裁決録(平成11年度)

 事業名 海難審判庁裁決録の刊行配布
 団体名 海難審判・船舶事故調査協会  




1999年(平成11年)

平成10年函審67号
    件名
油送船佐平丸定置網損傷事件〔簡易〕

    事件区分
施設等損傷事件
    言渡年月日
平成11年1月14日

    審判庁区分
地方海難審判庁
函館地方海難審判庁

大石義朗
    理事官
副理事官 堀川康基

    受審人
A 職名:佐平丸船長 海技免状:四級海技士(航海)
    指定海難関係人

    損害
定置網の掛綱が切損、同綱を固定していた土俵が損傷

    原因
水路調査不十分

    主文
本件定置網損傷は、水路調査が十分でなかったことによって発生したものである。
受審人Aを戒告する。
適条
海難審判法第4条第2項、同法第5条第1項第3号
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成8年11月15日01時58分
北海道南岸襟裳岬付近
2 船舶の要目
船種船名 油送船佐平丸
総トン数 749トン
全長 74.50メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 1,471キロワット
3 事実の経過
佐平丸は、船尾船橋型の油送船で、A受審人ほか7人が乗り組み、空倉のまま、船首1.9メートル船尾4.0メートルの喫水をもって、平成8年11月14日15時54分釧路港を発し、四日市港に向かった。
ところで、釧路港から襟裳岬に至る沿岸一帯には、4月から12月までの間随所に定置網が設置され、同岬から2.5海里北方には百人浜の海岸線から096度(真方位、以下同じ。)方向へ沖合2海里ばかりにまで達するさけ定置網が設置され、同網東端部の少し沖側3箇所に光達距離3.5海里の簡易標識灯が設けられていた。
A受審人は、釧路港を発航するにあたり、低気圧が接近中で強風波浪注意報が発表されており、襟裳岬付近で、西寄りの強風浪に遭遇すると、以前避泊地として利用したことがある同岬の東側陸岸寄りの水域に避難しなければならなくなることが予測でき、同水域には定置網が設置されていることを知っていたが、定置網の正確な設置状況を関係機関に問い合わせるなどの水路調査を行わなかった。
22時15分A受審人は、襟裳岬沖合を航過し、西行していたところ、荒天模様となったことから、同岬の東側で避泊することにして、翌15日00時30分襟裳岬灯台から268度8.2海里の地点で反転して東行した。
01時25分A受審人は、襟裳岬灯台から090度4.5海里の地点に達したとき、針路を百人浜沖合に向く300度に転じ、8.0ノットの速力としたところ、前示の同沖合に設置されたさけ定置網の中央部付近に向首することとなったが水路調査を行っていなかったので、そのことに気付かず、これに設置された簡易標識灯が波浪のためレーダー及び肉眼でも確認できないまま進行し、同時50分左舷前方にすでに貨物船が錨泊していたので、その北側に錨泊することにして右舵をとり、速力を減じながらゆっくりと右転中、01時58分襟裳岬灯台から035度2.7海里の地点において、ほぼ北を向首したころ、4ノットばかりの速力で同網東端近くの掛綱の上を航過し、プロペラで同綱を切断した。
当時、天候は雪で風力7の西北西風が吹き、潮候は上げ潮の初期であった。
A受審人は、定置網の掛綱を切断したことに気付かないまま同網の北側近くに投錨して錨泊していたところ、10時ごろ浦河海上保安署からの連絡で定置網が損傷していることを知った。
その結果、船体に損傷がなく、定置網は掛綱が切損し、同綱を固定していた土俵が損傷したが、のち修理された。

(原因)
本件定置網損傷は、釧路港を出航するにあたり、夜間、荒天避難のため、定置網が点在する北海道襟裳岬付近の沿岸水域に仮泊することが予測された際、水路調査が不十分で、定置網に向首進行したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
A受審人は、釧路港を出航するにあたり、夜間、荒天避難のため、定置網が点在する北海道襟裳岬付近の沿岸水域に仮泊することが予測された場合、定置網に乗り入れないよう、定置網の正確な設置状況を関係機関に問い合わせるなどの水路調査を行うべき注意義務があった。しかし、同人は、定置網の正確な設置状況を関係機関に問い合わせるなどの水路調査を行わなかった職務上の過失により、定置網に乗り入れる事態を招き、同網を損傷させるに至った。






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