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海難審判庁裁決録(平成11年度)

 事業名 海難審判庁裁決録の刊行配布
 団体名 海難審判・船舶事故調査協会  




1999年(平成11年)

平成10年神審第125号
    件名
漁船第十一蛸島丸定置網損傷事件

    事件区分
施設等損傷事件
    言渡年月日
平成11年5月25日

    審判庁区分
地方海難審判庁
神戸地方海難審判庁

工藤民雄、須貝壽榮、米原健一
    理事官
橋本學

    受審人
A 職名:第十一蛸島丸船長 海技免状:四級海技士(航海)(旧就業範囲)
    指定海難関係人

    損害
定置網の網やロープなどに損傷

    原因
船位確認不十分

    主文
本件定置網損傷は、船位の確認が十分でなかったことによって発生したものである。
受審人Aを戒告する。
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成9年10月8日03時30分
能登半島東岸飯田湾
2 船舶の要目
船種船名 漁船第十一蛸島丸
総トン数 260トン
全長 48.70メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 1,103キロワット
3 事実の経過
第十一蛸島丸(以下「蛸島丸」という。)は、大中型まき網漁業船団付属の鋼製運搬船で、A受審人ほか8人が乗り組み、船団の漁場移動に伴い、予備の漁具を基地である石川県蛸島漁港に運ぶ目的で、船首1.4メートル船尾4.0メートルの喫水をもって、平成9年10月5日14時00分青森県八戸港を発し、同漁港に向かった。
A受審人は、途中、新潟港に寄せて補水のうえ、同月7日15時00分同港を発進し、船橋当直を自らを含む乗組員3人の単独3時間交替で行うこととしたものの、出航操船に当たったのちも引き続いて在橋し、ソナーと魚群探知器を作動させて魚群の探素を行いながら日本海を西行し、翌8日02時22分ごろ能登半島禄剛埼北東方沖合で探素を終えたのち、飯田湾に向け同半島東岸沿いに南下した。
03時08分半A受審人は、長手埼灯台から090度(真方位、以下同じ。)2.1海里の地点で、針路を230度に定め、機関を全速力前進にかけ、10.5ノットの対地速力で、折からの降雨により視程が500メートルほどに狭められたなか、当直中の乗組員を手動操舵に配置して進行した。
ところで、飯田湾には、定置網が随所に設置されており、その1つが蛸島漁港東南東方沖合の、蛸島港第1防波堤灯台(以下「防波堤灯台」という。)から098.5度2,220メートル、095度2,830メートル、110度3,720メートル、109.5度3,770メートル、110.5度3,880メートル及び119.5度3,540メートルの各地点を順次結ぶ線によって囲まれた海域に、定第14号(田川)と称する定置漁業区画が通年設定されていた。同区画内の南側には、多数の浮子が取り付けられた東西方向に延びる長さ約720メートルの本網と、これに直角に接続して陸岸側に延びる道網が敷設され、同区画の南東及び南西両端に、毎4秒1閃光、光達距離7.5キロメートルの紅色点滅式の標識灯が設置されていた。
A受審人は、これまで基地である蜷島漁港に何度も出入港した経験を有していたことから、同漁港の東南東方沖合に定第14号(田川)区画の定置網が存在すること及び同区画の南東及び南西両端に紅色点滅式の標識灯が設置されていることを知っていたので、同漁港に東方から入航する際、いつも同区画南西端の標識灯を右舷側に見て航過したのち、右転して同漁港の港口に向けるようにしていた。
03時17分半A受審人は、長手埼灯台から140度1.4海里の地点に達したとき、針路を定第14号(田川)区画の沖合に向く250度に転じ、乗組員と交替して操舵室中央の舵輪後方に立って自ら手動で操舵に当たり、船首が浮上して船首方に大きく死角を生じ、前方の見通しが妨げられる状況のもと、乗組員を見張りの補助につけて続航した。
A受審人は、03時27分半防波堤灯台から112度2.2海里の地点に達したとき、右舷正横方に紅色の転倒個を視認し、これが淀第14号(田川)区画南東端の標識であったが、慣れたところであったことに気を許し、これを同区画南西端の標識灯であり、すでに定置網区画の南西端に至ったものと思い、作動中のレーダーを使用するなどして船位を十分に確認することなく、船首死角に入っていた同区画南西端の標識灯のことを全く気にしないまま、同時29分防波堤灯台から118度2.0海里の地点に達したとき、右舵をとって徐々に白転を開始し、蛸島漁港に向けていたところ、定第14号(田川)区画の定置網に向首するようになった。
間もなく、A受審人は、左舷前方に紅色の点灯1個を認め、先に視認した灯火が定第14号(田川)区画南東端の標識灯あることに気付き、驚いて機関を停止するとともに左舵一杯にとり直したが及ばず、03時30分防波堤灯台から119度1.9海里の地点において、蛸島丸は、293度に向首し、ほぼ原速力のまま、定第14号(田川)区画の定置網に乗り入れた。
当時、天候は雨で風力3の南西風が吹き、潮候は上げ潮の末期にあたり、視程は約500メートルであった。
その結果、定置網の網やロープなどに損傷を生じたが、のち修理された。

(原因)
本件定置網損傷は、夜間、降雨のため視界が狭められた能登半島東岸飯田湾を西行中、蛸島漁港に入航するにあたり、船位の確認が不十分で、同漁港東南東方に設置された定置網に向け転針進行したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
A受審人は、夜間、降雨のため視界が狭められた飯田湾を西行中、蛸島漁港東南東方沖合に設置された定置網を避けて同漁港に入航しようとする場合、同漁港に向ける転針予定地点に達したかどうかを判断できるよう、作動中のレーダーを使用するなどして船位の確認を十分に行うべき注意義務があった。ところが、同人は、慣れたところであったことに気を許し、視認した灯火が定置網区画の南西端を示す標識灯で、同区画の南西端に至ったものと思い、作動中のレーダーを使用するなどして船位を十分に確認しなかった職務上の過失により、転針予定地点の手前で蛸島漁港に向けて右転し、定置網に乗り入れ、定置網の網やロープなどに損傷を与えるに至った。
以上のA受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。

よって主文のとおり裁決する。






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