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海難審判庁裁決録(平成11年度)

 事業名 海難審判庁裁決録の刊行配布
 団体名 海難審判・船舶事故調査協会  




1999年(平成11年)

平成11年横審第5号
    件名
プレジャーボートレイプリンセスのり養殖施設損傷事件〔簡易〕

    事件区分
施設等損傷事件
    言渡年月日
平成11年4月14日

    審判庁区分
地方海難審判庁
横浜地方海難審判庁

猪俣貞稔
    理事官
藤江哲三

    受審人
A 職名:レイプリンセス船長 海技免状:一級小型船舶操縦士
    指定海難関係人

    損害
のり・わかめの養殖施設及び同属具等に損傷

    原因
水路調査不十分

    主文
本件のり養殖施設損傷は、水路調査が不十分で、同施設区域に進入したことによって発生したものである。
受審人Aを戒告する。
適条
海難審判法第4条第2項、同法第5条第1項第3号
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成9年11月9日17時05分
加布良古水道
2 船舶の要目
船種船名 プレジャーボートレイプリンセス
登録長 8.64メートル
全長 9.64メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 110キロワット
3 事実の経過
レイプリンセスは、製造者形式がFR-28と呼称される最大搭載人員12人のFRP製モーターボートで、A受審人が1人で乗り組み、釣りの目的で友人3人を乗せ、船首0.5メートル船尾0.9メートルの喫水をもって、平成9年11月9日08時15分三重県津港化方5海里にあるマリーナ河芸を出航し、09時15分ごろ飛島北方水域に至って釣りを始めたところ、風が強まってきたので、桃取水道から答志島南側に入り、鳥羽港東方水域に移動して釣りを行い、きすなど6匹ほど釣れたところでこれを終え、同日16時28分誓願島灯標から223度(真方位、以下同じ。)300メートルの地点を発し、定係港こ向けて帰途に就いた。
A受審人は、補前灯台と桃取水道大村島灯標との一線を通過したころから、西北西風による風浪を左舷船首方に受けるようになり、日没が迫っていたこともあって、定係港への続航は困難と判断断し、16時44分神前灯台から341度1.0海里の地点で反転し、目的地を変更して、加布良古水道の南方2海里ばかりに位置する大吉浦と称する入江に向かった。
ところで、加布良古水道の南口から大吉浦に至る水域には、のり・わかめの養殖施設か毎年9月から翌年4月にかけて設置されており、ヨセマル灯浮標とその西方の加布良古埼を結ぶ線から大吉浦入口にあたる、前長瀬灯標の北東方に連なる、麻倉島、大村島の北方までほぼ一面に同養殖施設が広がっている状況で、このことは、プレジャーボート・小型船用港湾案内及び水路参考図H-186、H-131、H-304A等に詳細に記載されていた。
A受審人は、船内に海図第73号、同1051号、水路参考図H-131、同186を備え付けており、これまで数回大吉浦沖合で釣りをしだ経験もあって、のり・わかめの養殖施設があることを知っていたので、周囲に設置されているブイに注意して航行すれば、問題ないものと思い、同施設間の通航できる水路を水路参考図等で確かめるなど大吉浦に至る水域の水路調査を十分に行わなかったので、大村島の北方1,000メートル沖まで同養殖施設が設置されていることに気付かなかった。
こうして、A受審人は、反転して桃取水道から加布良古水道に至り、同日17時01分加布良古埼を右舷側に120メート隔てて航過し、同時03分誓願島灯標から139度1,940メートルの地点において、針路を124度に定め、機関回転数を毎分2,400とし、14.0ノットの対地速力で進行したところ、同時05分少し前左舷船首方100メートばかりに黄色の点滅灯浮標を認め、これを離そうとして5度ばかり右転してみたものの、今度は正船首至近に浮きを視認するとともに、17時05分船首が129度を向いたとき、誓原島灯標から135度2,600メートルの地点において、原速力のまま、のり・わかめの養殖施設区域に進入し、プロペラに網が絡んで航行不能となった。
当時、天候は晴で風力5の西北西風が吹き、潮候は下げ潮の中央期にあたり、日没時刻は16時53分であった。
A受審人は、自力脱出が困難であるのを知り、直ちに所属マリーナに連絡して救助を求めるなど事後の措置に当たった。
この結果、船体に損傷はなかったものの、のり・わかめの養殖施設及び同属具等に損傷を与えた。

(原因)
本件のり養殖施設損傷は、日没後の薄明時、加布良古水道南側に設置されている多数ののり・わかめの養殖施設の間の水域を通って大吉浦に向かう際、水路調査が不十分で、同施設区域に進入したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
A受審人は、日没後の薄明時、加布良古水道南側に設置されている多数ののり・わかめの養殖施設の間の水域を通って大吉浦に向かう場合、船内に備え付けてある水路参考図等を利用して、同施設間の通航できる水路を確かめるなど大吉浦に至る水域の水路調査を十分に行うべき注意義務があった。しかしながら、同人は、これまで数回大吉浦沖合で釣りをした経験もあって、のり・わかめの養殖施設があることを知っていたので、周囲に設置されているブイに注意して航行すれば、問題ないものと思い、水路調査を十分に行わなかった職務上の過失により、その設置範囲に気付かないまま同施設区域に進入し、網をプロペラに絡ませて航行不能となったうえ、のり・わかめの養殖施設及び同属具等を損傷させるに至った。






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