そこで特別でも何でもない小さな行為、それはたぶん思いやりとかいう表現にもなるかもしれませんが、そういったちょっとしたことで、患者さんやご家族を孤独においやらない、決して見捨てない、いっしょにいるということが表現できるのじゃないかと思います。どれもこれも患者さんやご家族が教えてくださったことですので、こういうことは大切にしていきたいなと思います。
永石 ありがとうございました。
残り時間がもうなくなってしまいました。私のほうからもう一つ、今回の生と死の問題で、本を読んでいるなかで参考になったことを三点あげてみたいと思います。
一点目は、「日本でホスピス及びその思想が普及しないのは我々が日常生活や精神生活から死を排除し、その準備を怠っていることにもっとも大きな原因がある」。
二点目、「死が日常生活から切り離され、忌み嫌われる傾向が強まった時期は、先進諸国が生産性を重視し、弱者を切り捨てていった歩みと呼応する」。
三つ目、「死をタブー視する人々の増加はそのまま病人、高齢者、障害者を持つ人に対する医療や福祉の取り組み方の後退に重なる」。
以上三点、私がこの問題を考えるときに参考になった点です。
今日を機会にしまして、皆様、生と死の問題について、それぞれの地域のなかで、また家庭で考えていただければ、このmemento mori開催の意義があったんじゃないかなと思います。そうしたものの一つとして、お帰りのときに、「生と死を考える勉強会」ということで、長崎市で来月から勉強会が開かれるそうです。会場の一般の受付をされたところでそのチラシが置いてあるそうですので、関心をおもちの方はご覧になっていただければと思います。
ちょうど時間となりましたので、これをもちまして、memento mori パネルディスカッションを締めさせていただきたいと思います。
最後までお付き合い、ありがとうございました。
司会 ありがとうございました。「『死』をみつめ、『今』を生きる」をテーマにお送りましたパネルディスカッションはこれにて終了とさせていただきます。
貴重なご意見をお聞かせいただきましたパネリスト、ならびにコーディネーターのみなさま大きな拍手をお願いいたします。
皆さん、どうもありがとうございました。