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ともすれば死というような問題については、近親者、あるいは友人、知人が亡くなったおりに少し考えてはみるけども、それ以上はあまり深く考えたくはない。あるいは死というものに対する恐怖やおののきや、恐れというようなものも私たちは現実としてもっておるわけでございます。やはり生きとして生けるものすべては死というものが待ち受けているわけでございますから、それをしっかり見据えるということが私たちの毎日の生活のなかに、新たな希望が湧いてくるわけでございますし、またより充実したたった一回の人生でございますから、それを豊かに実りあるものとして生きるためには、やっぱり死というものを直視する必要があるのではないでしょうか。

今日は一日、皆様方とともに私も勉強をさせていただきたいと思っております。

長崎県はじめ、関係諸団体の皆様方のたいへんなご尽力を賜りまして、このように盛大に開催できますことを重ねて御礼申し上げます。ありがとうございました。

 

司会 それではここで本日のプログラムを簡単にご紹介申し上げます。

この後は「いかに死ぬかは、いかに生きること」―私が接したご病人から学んだこと―と題しまして、聖路加国際病院理事長でいらっしゃいます日野原重明さんにご講演いただきます。

続きまして、「老いと死とユーモア」と題しまして、上智大学文学部教授でいらっしゃいますアルフォンス・デーケンさんにご講演いただきます。

その後は、西川由美子さんによりますマリンバ・パーカッションの演奏と休憩をはさみまして、エッセイストの遠藤順子さん、イエズスの聖心病院看護婦・木場田潤子さん、堂園メディカルハウス院長・堂園晴彦さんをパネリストにお迎えして、「死をみつめ、今を生きる」をテーマにパネルディスカッションを行ってまいります。

長時間にわたりますが、最後までお付き合いいただきますよう、お願いいたします。

 

では、早速最初のご講演をお願いいたします。

ご講演は、聖路加国際病院理事長・日野原重明さんにお願いいたします。

日野原さんは、1941年、東京の聖路加国際病院に勤務されて以来、「医師にまかせきりにしない『患者参加の医療』」を持論にご活躍されております。聖路加看護大学学長を歴任され、1973年「生涯を通じて健康に」を掲げたライフ・プランニング・センターを創立し、その理事長、笹川医学医療研究財団理事長、聖路加国際病院理事長、聖路加看護学園理事長を務められております。

 

 

 

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