2. SOLAS V章改正(議題5関連)
2.1 背景と経緯
MSC62(1993年5月開催)において、英国からSOLAS第V章を改正する提案が行われ、NAV38(1993年9月開催)において、ドイツをコーディネーターとしてコレスポンデンス・グループが結成されSOLAS V章の改正の検討が開始された。その後、NAV40(1994年9月開催)において、将来の技術的な進歩に容易に対応できるようにするため、航海機器の積み付けを船舶の持つべき機能要件(Functional requirement)として定める機能要件化(Functional approach)の思想を導入することが合意された。この機能要件化については、NAV43(1997年7月開催)で条約改正に向けた最終的な審議が行われたが、搭載要件はPSC実施上明確な規定とすべきことが指摘され、結果、主たる機器を明示した上で機能要件を合わせて記述する規定が提案され、合意された。また、NAV38以降、欧州勢から次々に新しい航海機器(AIS、VDR(Voyage Data Recorder: 航海データ記録装置)等)の導入が提案された。
このように、NAV38の開催からかれこれ7年の歳月をかけて検討が行われてきたが、今回のNAV45でNAVとしての審議が終了した。今後は、2002年7月1日の発効を目指し、MSC72(2000年5月開催予定)で改正案を承認し、MSC73(同11月開催予定)で採択を行う予定である。なお、このようなIMOでの取組みに対する我が国の対応は(社)日本造船研究協会(造研)に設置されているRR75委員会で審議した。
2.2 SOLAS V章の全体構成
全部で35の規則からなるSOLAS V章改正案は、表21に示す構成となっている。
表2 SOLAS V章改正案〜規則の構成〜