3. 塗装作業のあらまし
(1) 表面処理と塗装
塗装作業は、単に塗料を塗る作業だけでなく、塗装する準備作業として被塗物の表面を磨いたり、錆を落としたりする作業など(下地処理)が含まれます。
船の塗装作業は、船体の内・外、甲板、上部構造物、外板、船底などごとに航行時の環境条件に大きな違いがあるので、使われる塗料、塗装回数などが異なります。
(特殊塗装について)
塗装には、重防食を施す場合と軽防食を施す場合とがあります。特殊塗装とは重防食を施すことを云い、厚膜タイプの塗料を使います。バラスト・タンクなどのタンク関係については重防食のための特殊塗装が施工されます。
(2) 表面処理(下地処理)の方法
1] ショット・ブラスト法
ショット・ブラスト機を使い、研掃材を遠心力により鋼材表面に打ちつけてミルスケール(黒皮)、錆などを除去します。
船殻など面積の大きい鋼材の一次表面処理に用いられる方法です。
2] サンド・ブラスト法
サンド・ブラスト機を使い、圧縮空気によりスチールグリット、銅コウサイなどの研掃材を投射して錆、不純物などを除去します。
サンド・ブラスト法は、ショット・ブラスト法より高度な仕上がりが得られるので、組立てられた後のブロックの二次表面処理などに用いられる方法です。
3] 動力具・手工具による方法
二次表面処理は、一般的にはディスク・サンダー、パワー・ブラシなどの動力工具を用いて行なわれますが、そのほかに、チッピング・ハンマー、ワイヤー・ブラシ、スクレーパー、サンドペーパーなどの手工具が用いられることがあります。