メッセージ処理機能から入力されてくる情報を、その都度事実(Fact)として推論機能のWorking Memoryへ追加して行くことで、発火するルールが動的に変化する。
また、エージェントが設計者に対して確認・選択作業を要求した場合には、設計者の応答履歴を基に、新しいルールを追加することで、エージェントを学習させて行くといった機能も、将来的には考えられる。つまり、最初は設計者がエージェントに対して、すべて教えていたとしても、エージェントが徐々に学習して行くに従い、設計者に対して、提案(例えば、「前回は、何々の処理をしましたが、今回もそれにしますか?」)することが可能になる。
(5) エージェントの実装範囲
Version1では、協業支援システムのシステム基盤として、以下の機能が実現できるエージェントの実装を行った。
・マネジャーからのアクティビティ割り付け要求を受信し、担当する設計者に連絡するとともに、エージェント内部に、担当するアクティビティ情報と(マネジャーから指示された)標準ワークエレメント情報を保持する
・設計者から担当アクティビティの進捗変更イベントを受け取ると、マネジャーへ連絡する
・設計者から、エージェントが保持するワークエレメント以外の進捗情報等の情報を要求された場合には、誰がそのワークエレメントを担当しているかを調べ、設計者に対して必要な情報を知らせる
・設計者がワークエレメントの進捗を変更する場合には、エージェントがワークエレメントの持つ依存関係から、参照している設計者に対して変更があったことを連絡する
なお、エージェントの実装言語として、UNIXワークステーション、Windowsマシンのどちらでも稼動させることが出来るJava言語を選択し、推論機能としてJESS(Java Expert Shell)というJava言語で実装されたパッケージを利用した。
(a) エージェントが保持するプロセスデータ
設計者の作業を支援するために、エージェントが保持すべき必要不可欠なプロセス情報を上述の機能から洗い出し、図4.3-4に示すOMT図を作成して実装した。図中に示す各クラスで表現しているプロセス情報は以下の通りである。