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2.3.3 CORBAオブジェクト基本サービス機能群

(1) CORBA Object Services

CORBA Object Servicesは、OMGが定義するOMAの構成要素の一つとして、分散オブジェクトシステムを構築するため必要な基本的なサービス群で、複数のCORBA製品ベンダーが、それぞれ仕様に基づいて実装を行い、製品として販売されている。

(2) 現在仕様化されているCOSサービス群

オブジェクトサービスの仕様は、Common Object Servicesとして発行されており、最新仕様では、表2.3-2に示す15のサービスが定義されている。

(3) CORBA製品 Orbixが提供するCOS関連サービス群

前述のように、本開発研究では航空機産業や金融システムを中心にもっとも広く利用されているOrbixを採用した。現在Orbixが提供するCOS関連サービスを表2.3-3に示す。また、Orbixは、表2.3-4に示すように、CORBAに基づく分散オブジェクトシステムの運用を支援するサービスも提供しており、実運用に有効な機能を一部利用した。

(4) 現状のCORBA製品の評価と今後の動向

Orbixに代表される市販CORBA製品は、表に示すように、OMGが制定した15のサービスの一部を提供しているにとどまっており、また、その実現レベルも、OMGが目指す、分散オブジェクト環境の理想像の実現に必要な、機能レベルに達していないものもある。すなわち、現状のCORBA製品の評価として、分散オブジェクト環境構築に必要な基本的機能が提供されていて、高度造船CIMの基盤構築には十分なレベルではあるが、ネットワーク上に分散したオブジェクトが有するサービス群を、ダイナミックに活用するという、ORBが目指す理想像を実現できるまでには、残念ながら未だ至っていないと見るべきであろう。今後、CORBA製品ベンダーにより、最新のCORBA仕様に含まれているサービス機能が実装され、製品として提供されて行くものと予想され、また、OMGはより高度な分散環境の実現を目指して、CORBA仕様を拡張しており、仕様面でも、今後一層の拡充が図られていくのは確実である。

今後、CORBA製品は、インターネットやJava関連技術、DCOMやBizTalkなど、他の分散ネットワーク技術と融合して行くと予想され、特に、インターネットを用いた商取引においては、そのバックエンドシステムの基盤となる可能性がある。それは、CORBAの最もすぐれた特徴である、複数の異なる環境で稼動するシステムや、リソースを統合するという能力が威力を発揮する部分であるからで、CORBA製品は、今までのOMGの仕様を実装したものから、インターネットに代表される、他の分散ネットワーク技術と統合されたものに変化するものと予想される。

 

 

 

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