日本財団 図書館


3. 油吸着材

油吸着材は、流出した油を吸着し又は吸収することによって回収するための資材である。油の回収は一般には油回収装置や油回収船を利用して行われ、油吸着材は油量が少ないとき、浅い水域や作業船が入れず油回収作業が困難な場合に回収装置の代わりに又はその補助として使用される。

 

(1) 油吸着材の種類と性能

現在市販されている種類は、その素材により次の3種類に大別される。

・無機質材(バーミキュライト、火山灰)

・天然有機材(ピート、パルプ、綿)

・化学合成繊維材(ポリプロピレン繊維、ウレタン)

このうち、化学合成繊維を素材とした油吸着材が殆どを占めており、マット状、ロール状あるいはフェンス状に加工されている。

油吸着材は、油水面に散布した場合水を吸収せず油を吸着・吸収するように撥水処理されている。吸着性は、単位重量に対して6倍以上の油吸着性(B重油)を有する能力が基準となっている。

 

(2) 使用上の留意事項

イ マット状のものは、1枚単位では非常に軽いので、散布するとき風で吹き飛ばされてしまい、所定の場所に散布できない場合が多い。2、3枚重ねて使用すると有効である。

ロ 油膜が薄いと吸着性能が低下するので、油をオイルフェンスで集めて油層を厚くして使用しなければならない。特にマット状の油吸着材は、吸着後の回収を容易にするためフェンス内での使用に限定される。

ハ 油を吸着後長時間放置すると素材によっては沈降するものがあり、また水と再置換するので吸着後は早期に回収しなければならない。

 

4. 油処理剤

海上に流出した油が漂流中に、波が作用して油を小さな油滴にし、自然に分散するのを促進することがある。油滴が水中に分散した場合油の濃度が低下し、光酸化や生分解しやすくなる。この過程を促進させるために、油処理剤が使用される。

油処理剤の主成分は、界面活性剤と溶剤である。

界面活性剤は、分子の一端が親油性をもち、他端に親水性をもつ分子構造を有する。また、溶剤は、油に浸透し、界面活性剤の輸送媒体として作用する。

 

(1) 油処理剤の種類と性能

現在わが国で使用されている油処理剤は、炭化水素型と濃縮型に分けられる。

・炭化水素型は、一般には通常型といわれ、炭化水素系の溶剤と15〜20%の界面活性剤を含んでいる。現在型式承認されている油処理剤の殆どはこの系列のものである。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION