Theseus発進のために開けた氷の穴は、大きさ1.5×13m、氷厚2mである。氷の切断には温水ドリルを用い、この大きさの穴を開けるのに1日半を要した。
次にTheseus組み立てのための15mの軌道を敷設した。氷が溶けて軌道が貫入しないように、軌道は氷から隔絶されている。軌道により、Theseusの各パートをきちんと直線上に組み立てることが可能となった。穴以外の床には滑り止めに木製パネルを敷き詰めた。テント内部はオイルバーナーで暖房したが、バーナーの不調に悩まされた。
また、ASV社製のPosi-Trackという小さなトラックを雪かきや、氷ブロックの運搬、ヘリコプターからの荷下ろし、ガントリーの組立などに使用し、非常に有効であった。暖房もないシェルター内に格納していたにも関わらず、常に一発で始動した。
電動機は12kw/110/220-Vの単層ものを2機、予備に3層8-kwのものを1機使用した。1機をコンピューター等用のクリーン電源、1機をホイストのようなスパイク電圧が発生する重電用のダーティー電源とした。テントの配置をFig.17に示す。
この他、Theseusの補給用としてPhantom ROVを使用した。典型的な使用方法はTheseusの回収である。PhantomがTheseusに索をつけることによって、氷の穴へ引き上げドックインが可能となる。さらに、水中ビデオの収録にもPhantomは使用される。ビデオはPR以外にも、トラブル時の回収にも役に立つ。
感想:
氷上に基地を設置し、AUVを操作する場合、砕氷船を母船とする方法と異なり、運搬、基地運営等に特殊なノウハウが必要である。本論文は非常に具体的な内容であり、興味深い。ROVを用いた回収方法や、運行方法についてはあまり詳しくないのが残念である。
Figure 17. Layunt of the fents at the Jolliffe Camp.