8. PORT NEWARK / ELIZABETH MARINE TERMINAL
1) この港湾施設の総面積は約2,200エーカー(880ha)で、1910年頃建設のPort Northと1961年頃建設のPort Elizabethより成る。1921年に、ニューヨーク州とニュージャージー州が喧嘩をしない様に、両州にまたがる港湾空港施設、橋梁、トンネルなどの建設、運営を担当する組織としてこの港湾局が設置された。なお前日訪問したワールドトレードセンタービルも港湾局が建設運営している。
2) Port Northの北岸壁ヤードは自動車、石油などを取り扱い、自動車は日本の全メーカーを含む世界の主要自動車の輸出入基地となっている。Port Northの南岸壁ヤードは土砂、石材、岩塩、屑鉄などの取扱い基地で、オレンジジュースなどもフロリダヘ運んでいる。
3) Port Elizabethコンテナ基地で年間取扱量は100万個以上。
4) この港湾の国内守備範囲は半径約600kmで、80〜90%が自動車輸送で鉄道は少ない。ハドソン川の上流などのサブ基地からの荷物はバージでここへ集めて海外へ運ぶ。
5) Port Northのバースは現在水深が35〜40ftで今後浚渫し深くする予定。この辺りは元は湿地帯で地盤が柔らかく、Port Elizabeth建設時には15〜20ftの地盤沈下を見込んだ。港湾局がバースを船会社にリースしており、バースの浚渫は船会社の要求に応じて港湾局が実施する。
6) 港湾の外のメイン航路は水深が45〜50ftあるが、この浚渫は連邦政府の担当。浚渫土は2年くらい前までは海洋投棄していたが、今は乾燥させてテキサス、ユタ州などへ運んでいる。なおきれいな土については100ft以上の深さの航路部に埋めることを試験的に実施中。
7) この港湾事務所ではこのターミナルの建設、メンテナンスから運営まで全てを行うが、各ターミナルの利用は各社管理としている。
8) 岸壁や建物の基礎などに木材(ワシントン州やオレゴン州のもの)が多用されているが、長さが90〜95ftくらいまでは今後も使っていきたいとのこと。耐用年数は理論的に50年以上あり、現実にもハドソン川に1930年代建設のものが今だに異常なく利用されている。
ただ20年前の環境法制定で水質が向上し水中の酸素が増えたために、Marine Borerという木材にドリルのように孔を掘って木を食べてしまう虫(鉛筆くらいの蛇のような虫)が増えており問題化している。対策としては薬液注入かラバーを巻いて虫を窒息させる方法がある。