2.2 平成9年度の概要
平成9年度の研究の主要な実施内容と成果概要を次に示す。
(1) 揺れない浮体構造物のニーズ調査
瀬戸内海域で浮桟橋を利用している船会社及び浮桟橋の所有者である港湾管理者を対象に浮体の揺れに対してどのような認識を持っているかアンケート調査を行い、得られたデータを分析した。結果は以下のとおり。
1) 浮体の揺れの低減に対するニーズは大きい。
2) 浮体設置場所の自然条件は、波高が0.5m程度の場所がほとんどであり、揺れが問題となる規模は、比較的小規模(デッキ面積600m2以下)のものがほとんどである。
3) 浮桟橋への船の着岸・離岸時に近くを船が航行した時の航走波に起因する波が問題となる場合がほとんどである。
(2) 動揺制御型浮体構造物のアイデア抽出及び理論検討
浮体構造物の動揺制御効果が期待できる浮体没水部形状、制振機構について比較検討を行い、次の4タイプを選択した。
1) 水線幅変更タイプ
2) 減揺タンク上載タイプ
3) SLO-ROLタンク付加タイプ
4) TMD制振装置付加タイプ
(3) シミュレーション基礎技術の検討
シミュレーション(2)の4タイプについて行い、その効果を既存の箱型基本型状の浮体と比較し、視覚的に表現するものとした。
2.3 平成10年度研究概要
(1) 実態調査
既存の浮体構造物の動揺制御に関する設計手法等の実体を把握するため、構造物の動揺の実体及び動揺制御に関する設計手法の調査を実施し、その結果を本研究に反映させた。
1) 調査対象物件
・アクアポリス(沖縄)
2) 調査項目
・浮体構造物の動揺制御に関する設計手法の調査
・浮体動揺の実態調査
