国連海洋法条約の第5部では、新しい枠組み、つまり排他的経済水域のことを定めている。排他的経済水域は国々に隣接した水域を表すので、各国は、経済水域とその海底、底土での探査、開発、保護そしてその生物的及び非生物的資源の管理を目的とした排他的主権がそこで認められている。勿論、人工島、軍事施設、構造物の造成の監督や、提案された海洋科学調査に関する情報を有し、これに参加する権利、そして指定された状況での調査に対する許可を保留する権利、ごみ投棄監視権、立ち入り検査をする権利、また重要な損害の恐れがある海域では、国際汚染基準に違反して汚染物質を排出した嫌疑がかけられた商船をその水域に抑留する権利等が認められている。
こういう権利は、開発途上国からの執拗な要求があって沿岸国に与えられている。これは、自主権拡大の承認を得ることだけが、技術的に優位に立つ外国企業家による開発に対抗できる適切な保護策になることと関連しており、付属領域(appurtenant areas)の天然資源に対する権利があるという主張に基づいたものである。このような権利が沿岸国に譲渡されている――従って、国連海洋法条約の第11部に扱われている'共同の財産'という概念に基づいて全体として国際社会に確保された天然資源の規模は大いに減少しているが、一方で、幾つかの条項は、全体としての国際社会の経済水域における権利と資源の保護を目的とした<理想>に触発されたものである。このような事は、国連海洋法条約に含まれているが、例えば、国連海洋法条約は明白に基準線から200海里の距離で、経済水域の幅を制限している。国連海洋条約が、第76条で、事実上、全て知られているあらゆる大陸棚下層の天然ガスと原油の掘削に対する沿岸国の要求を承認する一方、再び、第82条によって国際社会全体としての権利も主張している。その第82条は、他の国のために、200海里以遠の大陸棚資源の開発収益から沿岸国によって支払われる納入金と寄付金に関する条項である。
経済水域における他国の権利の保護を目的とする<理想>によって作られた他の条項は、(a)経済水域とその資源に関して、他国のために沿岸国が引き受けるべき広範な義務、及び(b)海域と資源について特殊な権利を他国に与えること、を要求している。従って、沿岸国は排他的経済水域における海洋生物の保護を確実にする義務を有する。そうして特殊条項の対象である海中哺乳動物を除いて、沿岸国は、剰余分―ないかも知れないが―の漁業をする外国船舶に対して、漁獲可能量を確定し、合理的な条件で利益が得られるように、海洋資源の最適利用を推進することが求められている。また、沿岸国は、その管轄権と管理下での活動が他国に汚染の被害を与えないようにする確かな方策も立てなければならないのである。