日本財団 図書館


むすび

 

1998年に指定を受けた別府ONSEN文化国際交流事業も、皆様のお陰で無事進めることができました。

段階的に振り返れば、1998年は8ヶ国の国際会議の運営ができたことがなんといっても良い経験になりました。「こんなに資源があるのに、あなた達はどうして使わないの?」 「温泉は入浴だけですか?それ以外の利用方法は関連製品はないの」 「もう少し保養という観点からまちづくりを考えられないか」 「別府の人は自分達が住んでいる町をどうしたいと考えているの、私たちにはそれが見えてこない」などなど、ゲストには素晴らしい示唆を頂くと共に、そこまで言われるのであれば現地に行ってみよう、経験してみようということで、1999年の6月から7月にかけて12人の若者がドイツと、イタリアを訪れました。ゲストが昨年私たちに伝えたことの現実が目の前にありました。その中で私たちはONSENと医療、美容、産物をひとつのキーワードと考え、ハンガリー、フランス、イタリアから医師を中心にゲストを招待しました。別府八湯国際交流ミーティングでは、別府市の医者もこのONSEN文化に事業に興味をもっていただき、招請者との医療・健康増進会議にも出席していただきました。

11月の招請事業が元となり、ONSENと産物という観点から、国際ビジネスネットワーク(別府商工会議所主催、甲斐 賢一代表)が12月に別府市内に立ち上がりました。これは、私たちが交流したイタリアのアバノ、ベネチアを含むベネト州と草の根交流やビジネ、ス交流を図り、別府が名実共に国際都市になるように努力する団体です。また2月には別府市旅館組合と別府市医師会が提携し、ONSENと医療、美容という観点からONSEN地療法会議(仮称、3月初旬立ち上げ予定)がスタートするようになりました。今までは、観光と医療は直接的に結びつくことはありませんでしたが、このONSEN文化国際交流事業の流れをみて、初めて両方の団体が提携するようになり、先端技術や副作用のある薬に頼ることなく、人が本来保っている治癒力、免疫力を高めて健康になってもらう、あるいは現代社会のストレスを減らす為に予防医学的な観点からONSEN地療法に取り組み、別府の様々な分野が協力して別府を素晴らしい町にしていこうというものです。

別府ONSEN文化国際交流事業から派生したこの大きな2つの組織をどう活かしていくかということが、今年の大きな課題です。この2年間で交流した国・地域は、アメリカ(グレンウッズスプリングス)、韓国(釜谷温泉)、台湾(知本温泉)、ニュージーランド(ロトルア)、イギリス(バース)、イタリア(アバノ、モンテカティーニ)、フランス(エクスレバン)、ドイツ(バーデンバーデン、バートホンブルグ、バートドリブルグ、バートッシンゲン、バートタロチンゲン、バートメルゲントハイム、バートオイエンハウゼン、バートノエナー)、ハンガリー(ブダペスト、ゲレルト)、イスラエル(デッドシー(死海))など10ヶ国18のONSEN地に及びますが、これらとどのように草の根交流を継続していくかが鍵となります。

本年4月には、立命館アジア太平洋大学が別府に開学します。開かれたONSENネットワークを別府に構築し、世界のONSEN地と草の根で交流していくことが、別府の活性化を生み、本来の目的であった日本の温泉地の新しい道しるべのひとつになることだと思います。この事業が始まって今年で3年目。良い年にしていきたいと思っています。

 

別府ONSEN文化国際交流事業プロジェクトチーム

団長 甲斐 賢一

 

 

 

前ページ   目次へ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION